帰りの機内で、見逃していた映画をチェック。まずは「ベンジャミン・バトンの数奇な人生」。老人として生まれ、赤ん坊として死んで行く男の物語と聞いていて、キワモノか?と思っていたのだけど、これがなかなか、人の一生を考えさせる暗喩に満ちていて、味わい深い静かな感動の余韻にひたれるよい映画だった。

人と出会うタイミングの重要さとか、小さな一瞬一瞬の積み重ねが変える人の運命とか、外見と中身の関係とか、赦し、老い、愛のさまざまな表現についてとか・・・。ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの、特殊メイクを過不足なく生かす繊細な演技にも圧倒された。キワモノ映画にならないのは、ほんの一瞬しか訪れない時期の、感情や表情、姿勢などをきめこまかく美しく表現することができるこの二人の演技力にもよるだろう。さまざまな事情や不都合をかかえながらも、今こうして生きている瞬間が、ほんとうに奇跡のようなかけがえのない宝物なのだ、ということを教えられる。

「スラムドッグ$ミリオネア」は今年のアカデミー賞作品賞ほか数々の映画賞を受賞している。スラム育ちの無学な青年が、なぜクイズ・ミリオネアで勝ち抜いていけたのか? ストーリーテリングの手法がクールでスタイリッシュなうえ(なんてったって監督がダニー・ボイルだ)、インドのスラムの状況がもう想像を絶する壮絶さで、見終わったらアドレナリン全開のままつい友人知人に「見て見て」とすすめたくなる。

問題の答は、スラムでの壮絶な一瞬一瞬の中にあった。思い出すのも悲しすぎるような、すべての瞬間を、感情とともにしっかり記憶に刻みつけておくことことで、青年の人生は一転する。ここにもまた、いかにみじめで無力な日々に見えても、必ずいつかその日々が意味をもつときがやってくる、というメッセージを読み取りたくなる(・・・疲れてるんだろうか)。

最後はみんなでダンス!のシーンで、「インド映画だからね」という監督(ボイルはイギリス人)のウィンクを感じ取る。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です