なにかと話題をふりまいてくれるマーク・ジェイコブ(Marc Jacobs)なので、よく記事のネタに取り上げます。で、そのつど、校閲さんから「ジェイコブ」に直すよう指示がくるのですね。日本の代理店も「ジェイコブ」と表記してるからってことで。

日本におけるブランド名がそういうふうに通っちゃっているならもちろん、日本の媒体での記事中の表記はそれに従いますが、でもいつもなんとなく気持ち悪さが残るのです。ニュースなどでは「ジェイコブ」と発音されるように聞こえるし、「固有名詞英語発音辞典」(三省堂)をひいても、Jacobsは「ジェイコブ」と発音するのが正しいことがわかります。

なんで日本語になるとこうなっちゃうのだろう? とずっと薄気味悪く思っていたのですが。 

先日、ピーター・バラカンさんと対談した時に(すいません、OPENERSでのアップが遅れております。もう少しお待ちください)いただいたバラカンさんのご著書「猿はマンキ、お金はマニ」(NHK出版)のなかに、膝を打つような指摘がありましたっ。

日本のミーディア(メディア、と書かないところにバラカンさんの主張あり)がまちがった発音やおかしな発音を伝えており、これが日本人の英語がなかなか通じない原因の一つにもなっている、と。

バラカンさんは、野球チームの例をあげます。ニューヨーク・ヤンキー(New York Yankees)と表記されるのが通例になってますが、これは当然、「ヤンキー」であるべきと。同様にDodgers は「ドジャ」、Tigersは「タイガ」と表記されるべき、と。

複数形のsの読みが「ス」と濁らないのは、その前の文字が無声音(c,f,k,p,t)のときだけ、というのは学校の英文法でも教えているはず。

わざわざへんな発音にして、日本のカタカナ語として定着させてしまうのは、「このことばはもう、英語じゃないから。日本語として日本の慣例にしたがってもらうのでよろしく」っていう日本語の意地?みたいなもんなんだろうか。

というわけで、私が「ジェイコブ」と表記しつづけるのは、このほうが正しいのではないかと思っているからです。とはいえ、実際にこのブランドを取り扱う日本の代理店が「ジェイコブ」と書け、というならそれは「ご本人代理」の方からの指示とうけとめて従います。その程度の正しさではありますが。

4 返信
  1. gadogado
    gadogado says:

    個人的に一番どうにかして欲しいのはカタカナ英語で習う世界史!人名とか、○○の条約とか。ホントーに通じないって!あんなに時間かけて蓄積した知識なのにトホホホですよ。あと、間違って浸透している意味の単語達も罪ですよね。ムーディーなバーとか(絶対いきたくない)。ファンシーなお店とか。

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  2. 中野香織
    中野香織 says:

    gadogadoさんは海外在住でいらっしゃいますか? いつも「わかってる」コメントで興味深く。ありがとうございます。バラカンさんも「本気でミーディアを変えなくてはいけないと思っている」とおっしゃってましたが、たしかに日本人にとって、カタカナ英語を「英語として」覚えることによる弊害って大きすぎる気がします。

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  3. bonpoint
    bonpoint says:

    こんにちは、はじめて書き込みします。
    おっしゃるとおりですね!
    私はいつもベッカム選手が”デビット・ベッカム”と紹介されるのが気になっていました。
    ちょっとラビットみたいで・・・。(;´д`)トホホ…
    これからもブログ楽しみにしています。
    お邪魔しました。

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  4. 中野香織
    中野香織 says:

    ラビット…(笑)。たしかにですね。
    それよか、本人に「デビット」と呼びかけたとしたらDebit(デビットカードのデビット、借り方、の意味の)と聞こえるはずで、このことばには「欠点」の意味もあるから、不快感を与えかねませんよね。

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