伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングが地球を回す」読了。待ち合わせまでの時間とか移動の合間にちょっとずつ読んでいたので、結局、2か月近くかかってしまった。でもかえって登場人物が長い付き合いの友達のように感じられてきたりして(・・・)。

とっくの昔から人気が定着している作品なのであれこれ書くのも野暮だが、巻末の村上貴史さんという方の解説で、軽快な作品の下にどれだけ作者の壮絶な苦労がひそんでいるかをはじめて知り、がーんと打たれるものがあった。

原型となる作品が、1996年のサントリーミステリー大賞で最終候補に残った作品。それが、「サントリーホールに大勢の人を招いて開催された最終選考会において、選考委員から徹底的に叩かれた。本人がもう小説を書いちゃいけないんだ、という気持ちになるほどに。」

その時の作者の気持ちがどれほどのものであったか、そこから復活する努力がいかほどのものだったか、想像するとほとんど涙ぐんでしまうほどである。大ホールのなかで、大勢の前で自分の労作をこきおろされること。この屈辱と無力感を思えば、品性卑しいネットでの中傷(作者もまたあなたと同じ、傷つきやすい人間です。子どもを育てるように時間と労力をかけ、大切に世に出した作品に、どこの誰かわからぬ人からまったく見当違いで理不尽な罵詈雑言を浴びせられたら、あなたの心身ならばどのような反応を示すでしょうか。作品や作者がお嫌いなら、嫌いなものに構う必要などありません。大人の態度で、ただただ、無視して通り過ぎ、ご自分の人生の貴重な時間を有効に使ってくださいますよう)になどいちいち傷ついてなどいられないというものだろう。

そこから飄々と、なんの苦労もしていないように軽やかに舞い上がって活躍している伊坂さんの作家としての姿勢に、少し勇気と元気をわけていただく。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です