仮にリムちゃんと呼んでおこう。いつもネイルを担当してくれる、30前後のかわいい女の子である。今日はジェル塗り替えの日だったので、いつものように手を委ねつつ近況などを聞いていた。彼女は新婚ほやほやである。ギボさんが必要以上に介入してくることは、前にも聞いていた。

リム「・・・私、ついに事件おこしちゃったんです」

ナカノ「なにやらかしたの?」

リム「ギボが、こっちは仕事中なのに、次の日曜どこ行くとか、そういう電話ばっかりかけてくるから、もうさすがに私もイラっとしちゃって」

ナカノ「で、仕事中に連絡するなって、言っちゃったの?」

リム「だったらまだよかったんです。仕事中に何度もしょうもない電話かけられても困るんだよね、行きたいとこあるなら自分で行けって話だよね、みたいなことを感情のままに書いてカレにメールしようとしたんですけど・・・」

ナカノ「うん、そういう愚痴をダンナさんが聞いてくれるならいいじゃない?」

リム「そのメールをまちがってギボに送っちゃったんですっ!」

ナカノ「・・・ご本人に・・・」

彼女は携帯を壊したいという衝動にかられながらも、センターに送信停止を申し込んで手遅れであることを知り絶望し、全身から血の気がひいて気を失いかけたそうである。

その後まだギボさんと顔を合わせていない、とのこと。

とりかえしのつかない、ボタン押し。苦い経験は私にもある。頭に血が上っている時ほど、「ぜったいに押してはいけない」ボタンを押してしまうものであるらしい。いくら後悔しても反省しても現実をリセットすることはできないと悟ったその日は、壁に頭を何度かぶつけて血まみれになっていた。心の痛みより身体の痛みのほうがはるかにマシだった記憶がある。

心の底から同情し、ラインストーンをつけるオーダーを追加してあげた。

という次第で、「ギャルっぽい」とずっと避けていたラインストーンがはじめて爪についている。

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