◇桐野夏生『アンボス・ムンドス』(文春文庫)読み終える。さまざまな種類の「ふたつの世界」をテーマにする短編集だが、毒たっぷりのコワおもしろさを堪能。最後におさめられた表題作「アンボス・ムンドス」がいちばん強く印象に残った。小学5年生の女の子たちの底知れぬ冷やかな恐ろしさ・・・・・・よくわかる。ふりかえってみても、人間関係がもっともどろどろぴりぴりしていたのは、小学校高学年の女子社会だった。そのおどろおどろしいおそろしさが、テレビドラマを見ているかのように生々しく鮮やかに描かれる。こわいよ~。

◇心にひっかかったことば。朝日新聞25日(日)付。まずは「TVダイアリー」久保田智子の2回目。

「1分間で自由に話す『フリートーク』が一番苦手だった。頭の中が真っ白になってしまい、内容も稚拙だと怒られた。(中略) やはり精神的に苦痛だったのだろう。ある日突然、全身にじんましんが出た。点滴をして、薬を飲んでも一向に治らなかった。もがき、苦しみ、体中がかゆくて、アナウンサーになるのは本当に大変なんだなと涙が出てきた」

・・・しゃべりのプロにしてこんな苦しみを経ているのか。他人の苦労を聞いて安心するというのも品のないことであるが、なんだか「自分だけではなかった」という安堵とともに、それだけの苦労をしないと「話せる」ものではないことを思い知る。

同日付の朝日新聞、「仕事力」、野田秀樹の4回目。

「自分の目指すことを自分で決めて、さらに真摯であるか。どんな仕事でもそうだと思うけれど、役者だって結局そこが基本です。と言うより、人間はそこが基本ですと言うべきかな」

「仕事をどうやるかは、どう生きるかに通じませんか。ここはやっぱり、自分を信じて創造的にいきたいと思うのです」

照れずにそう言い切る野田さんの表情が、ほんとうにりりしくすがすがしいのである。

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