◇来年初頭、三越伊勢丹の紳士服販売スタッフを対象に、男性服の歴史とパーツにまつわるレクチャーをするという機会をいただき、打ちあわせに行く。伊勢丹百貨店さんとは、OPENERSでタシロさんとフレグランス対談をしたり、コミヤさんとビューティーアポセカリーのオープン記念対談をしたりと、貴重なご縁が続く。恒例になったグリーンサンタのチャリティも、伊勢丹での展示である。三越+伊勢丹=老舗の底力+最先端のトレンド発信力、といういい結果が生まれることを期待する。

この日は使っている路線が信号トラブルとかでおそろしく遅延。結局、約束の場所にたどり着くのにいつもの2倍の時間がかかる。通常は30分ほど前に現場近くに着いてスタバなりタリーズなりに入って一息つき、メイクのチェックなどもしてから会議や打ちあわせにのぞむのだが、さすがに今日は現場にダッシュ。打ち合わせが終わった後、ようやく鏡を見たら片目だけ下マスカラがにじんでシュールなパンダになっていた。3分よけいにお待たせしても顔だけはチェックしておくべきだったか、それとも、ひどい顔でも先方を少しでも待たせないほうが重要なのか。キュウキョクの選択である・・・。

気をとりなおし、伊勢丹ついでにジョー・マローンのカウンターに寄り、プレゼント用に二本買い足す。12月初めに発売されるフレグランスクロニクルのカタログをいただき、しばらく目が釘づけ。レギュラーでは未発売のコロンがつくセットが2種類。悩ましい。

◇5日付朝日新聞、加藤典洋「ともに消えた『理想』と『夢』 本当の矛盾が露呈」が興味深かった。1989年、ベルリンの壁が崩壊した時に消えたのは、「夢」と、「虚構」であった、と。

「壁の崩壊で消えたのはマルクス主義という『大きな物語』をささえていたもの、どこかに『理想の世界』がありうるという、宗教的とさえいえる確信、信念、『大きな夢』である。それはもはやない。『壁』が消え、ITが世界を覆い、視野が広がり、『夢見ること』は『見ること』にとって代われらた」

「しかし壁の消滅とその後の世界の一体化=有限化は、一方で『大きな夢』に代わり、『大きな気がかり』を生んでいる。この有限な地球の将来をきっと自分と同じようにこの世界の誰もが気にかけているはずだという、やはり宗教的とさえいえる確信、心情である」

これを加藤さんは「世界心情」と呼んでいるとのこと。

なるほど、「夢」から、「気がかり」へ。こんな認識を与えてもらうことで、世界の見え方が、ほんの少し、クリアになる気がする。

2 返信
  1. gadogado
    gadogado says:

    メンズの販売の方は皆さん担当ブランドの歴史も含め大変熱心に勉強しているかたが多いのでレクチャーのしがいがあるのでは?壁、もう20年もったたのですね。記念日にちなんでか今日BBCで映画Good Bye Lenin をやっていました。90年代ドイツで出会った「元」東の人たちの多くは「理想の世界」西へとやってきたものの非常にくらい表情をしていたのが印象に残っています。

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  2. nakanokaori
    nakanokaori says:

    gadogadoさん、コメントありがとうございます。「グッバイ、レーニン」は笑って泣けての名作ですよね。母のために「東が健在」であることを演出するけなげな息子のお話。「オスタルジア」(オスト=東、に対する郷愁)ということばも生まれてましたが…。
    「元・東」の人のお話、感慨深いですね。いろんな意味で「壁」っていうのは、その向こうに夢を描けるだいじな装置でもあるのかな、とふと思いました。

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