◇齊藤薫『The コンプレックス』(中央公論新社)読み終える。女のコンプレックスが、どんなふうにその人と周囲に作用して、人生を変えていくのか・・・ということをコワく鋭くついた、フィクション仕立ての本。登場するすべての女性たちが、何らかの形でつながっていて、出てくる女のだれか(複数)に、自分のコンプレックスを重ねて感情移入してしまう。

「美人ではない女」「ヤセたい女」「キレイ好きのふりをする女」「引き立て役だった女」「コンプレックスを消せない女」・・・・・・なんだかいちいちギクリとさせられるタイトルである。コンプレックスなんて他人から見ればどうでもよいことなんだけど、けっこうそれに無意識下で縛りつけられていて、アレやコレやが「うまくいかない」ことの原因になっている。リクツではわかっているからこそ、ほんとうに解放されるのが難しい。

◇14日付け朝日新聞「悩みのるつぼ」、回答者、金子勝さん。「貪欲、前進欲で身が持たない」という50歳主婦・専門職・学生の質問に答えて。

「細部についてぎりぎりどこまで客観的にいえるのか、その限界と緊張感を知ってこそ、大きな枠組みに関する議論も注意深くできるようになります。いつも大雑把なことを、あれこれ脈絡なく言っても人は信じません。相談者は、本当の能力を身につけるために、細部に向かっても『貪欲、前進欲』の2欲を発揮してください」

・・・・・・・自戒をこめて、メモしておいた。

◇同日付、磯田道史の「この人、その言葉」、今日は桐生悠々。

「愛、普遍愛の持主のみこそは、一時は迫害されても、未来永劫に亘って、世界を支配する」

ワンフレーズのスローガンの危険を説き、複眼視点をもって比較することの大切さを説き、教育に愛を、と説いた桐生悠々のことば。手っとり早いワンフレーズと狭量でお手軽なジコケイハツばかりに大衆が走る今だから、ひときわ重みがある。

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