◇大学に産経新聞の記者の方が取材にお見えになる。「スーツの未来はどうなる」がメインテーマ。身近にあたりまえに存在するモノの未来はどうなる?という大きな特集のなかでの話になるようだ。

本題が終わって、「国が多額の費用を投じているにもかかわらず、東コレはなぜ盛り上がらないのか?」の議論。この問題に関しては、日本に本格的なファッションジャーナリズムが存在しえない理由とも結びついてくるように思っているのだが。デザイナーやプレスは、ジャーナリズムに対し、オープンマインドの公正なプロ精神をもって接するべきではないか? 記事の扱いや表記をプレスが細かくコントロールする、という慣習を超えていかないと、一般の人、ましてや世界に対して魅力をアピールすることは難しくなる。「ブランドにとって都合のよいことしか書かれない」という閉鎖的な状況が、かえって一般読者の興味を失わせることにつながり、それが「盛り上がらない」ことの一因にもなっているのでは・・・と感じることがある。

「雑誌の低迷」状況にも、同じ原因がひそんでいると思っている。ブランド広告記事を束ねただけの雑誌を、買ってでも読みたいと思う人は少ないだろう。

◇太田伸之『ファッションビジネスの魔力』(毎日新聞社)読み終える。現イッセイ・ミヤケ社長の太田さんは、80年代からずっと東京ファッションシーンの中心的裏方(?)だった方。アメリカのバーニーズで東京ブームを起こし、IFIビジネススクール(ファッション産業人材育成機構)の立ち上げにかかわり,CFD(東京ファッションデザイナー協議会)の発足にたちあう・・・。

「ファッションはビジネスという名のゲーム」という信念のもと、ビジネスとしてのファッションとエネルギッシュに関わってきた太田さんのキャリアが、そのときどきの現場の熱気を伝えるような文章でつづられる。あのできごとにはこんな裏話があったのか!という驚きの連続。東コレの特設テント設置をめぐる三宅一生さんの心やさしい奔走ぶりには涙した。

「『ファッション=ビジネス』ではありません。『ゲーム』なのだからビジネスを楽しめ、挑戦しろ、なのです。右脳も左脳もフルに稼働させ、仕事をゲームのようにエンジョイする、それがファッションビジネスです」。

おそらく、ほかの仕事にもおいても。

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