‘Fashion at the Time of Fascism’が届く。読者の方に教えていただいて注文していた本(←ありがとうございました!)。デカイ本である。A4を少しはみでそうな大きさ、400ページ、これでハードカバーだからずしりと重い。本を動かすのに腕力が要る。移動の途中に読むなんて無理(笑)。

内容も期待以上に充実している。写真がメインだが、ファシズム下にあったイタリアの服装事情が、一般人から兵士、女優まで、型紙からトップモードのイメージ、メイクアップに下着まで、幅広く豊富に網羅してあり、興味がつきない。ちなみに写真&イラスト1500点。贅沢な本である。

衝撃的だったのが、「M」の頭文字のアップリケを兵士はもちろんのこと、小さな子供たちの服にもおそろいでつけていたこと。「M」が模様としてちりばめられた服地でつくったドレスの写真もある。ムッソリーニの頭文字だろう。「ファシズムはスタイルを与える」という表現がでてくるが、思想の統制は、まず、スタイルの統制から、というファシズムの空気が伝わってくるような写真の数々。でもおどろおどろしいわけじゃなく、純粋に「スタイル」として眺めると、なかなかかっこいいものも多いのである。M字模様を服地にちりばめるなんて、よく考えたなあと感心する。

皮革が軍需物資としてとられたために、「ない!」という物資欠乏時代の、布や麻やコルクでつくった靴の数々にも驚き。フェラガモが靴の歴史に名前を残しているのは、あのカラフルなコルクのプラットフォームシューズを30年代に考案した功績が大きいのだが、「靴の歴史」の本では見られなかった、フェラガモの他の布製靴もはじめて目にした。欠乏は創造の母、と感動する。奪われたものは、工夫と努力で創り出せ、というメッセージまで伝わってくる。

じっくりと文字部分も読みたいが、切迫した仕事を先に仕上げてからもう一度、ゆっくり向き合うことにする。なにせ机の前にどっしりと座って読むことだけに集中しないと、扱えない本である(物理的に)。

2 返信
  1. はすざわ
    はすざわ says:

     ああ、そんなにゴツい本でしたか。「LEON」なんて目じゃないですね(笑)。私にとっても、上腕二頭筋のトレーニングに大いに役立ちそうです。
     ドイツのファシズムについては軍事上の話であれ、民政上の話であれ、色々な話をよく聞きますけど、イタリアのファシズムがどうやって、よりによって『統一・団結』とは正反対のお国柄にしか見えないかの国に浸透したのか、あまり聞かない気がします。まあ、単に私が無知なだけなんでしょうけど。
     その一面を垣間見ることができるという点において、この本は貴重な気がします。もちろん、当時のファッションを知る資料としてもきっと一級品なんでしょうけど。
     フェラガモの布製シューズですか!物資欠乏の時代にあっても、装うことへの興味というのはそう簡単になくなるもんじゃないですよねえ。実は我が日本の戦時下においても、少なくとも昭和18年(ガダルカナル撤退やら山本五十六連合艦隊長官戦死やら、アッツ島玉砕やら、完全に坂道を転げ落ちつつあった年)までは婦人誌にまだファッションをファッションとして楽しむ余裕があったようです・・が、20年になると、痛々しすぎて爆笑してしまうような紙面に変わってしまう・・。(件のblogの姉妹サイトの記事「謎の決戦型ブラウスhttp://tadanorih.hp.infoseek.co.jp/tondemo/tondemo19.htm
    をご参照ください)
     それでは、来年もblogや著作を楽しみに拝見させていただきます。よいお年をお迎えください。

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  2. nakanokaori
    nakanokaori says:

    謎の決戦型ブラウス! 当時の深刻さを思うと、笑うに笑えないですが、真剣なだけに哀切なおかしみもあり、複雑な思いがわきあがってきますね…。戦時下の服装からみた各国比較、というのはテーマとしてなかなか興味深いような気がしてきました。ぼちぼち資料を集めてみようと思います。いつも貴重な情報を教えていただき、ありがとうございます。
    はすざわさんも、どうぞよいお年をお迎えください。

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