◇ラグジュアリーブランドが、既存の雑誌への広告を控え、編集スタイルをとった独自の「ルックブック」を出し始めている、というニュース記事。英「フィナンシャルタイムズ」8日付け。

ファッション誌の厚さは景気に比例する。景気がよかったころは電話帳のようで、持ち歩き不能だったラグジュアリー誌も、今は広告ページが激減しているために、さびしいほどに薄い。日本ばかりか、ヨーロッパにおいてもそうらしい。

だからといってブランドが紙媒体への広告を打っていないのかといえばそうではなく、ライフスタイル記事のなかにブランドの商品をとけこませた、「カスタマー・パブリッシング」というタイプの冊子がブームになっている、と同紙は報じている。先月にはカール・ラガーフェルドがオリヴィエ・ザームという編集者と組んだ「31 リュー・カンボン」発行。既存のものではサンローランが大都市で配布しているの「マニフェスト」もそのひとつ。

リテイラーもこの流れに乗り、先月には「フォーエヴァー21」が活字版・オンライン版のマガジンを発行、「バーニーズ」「セルフリッジ」なども、編集型マガジン広告へと移行。これはすでに編集スタイルの雑誌タイプの広告で成功をおさめた「ネッタポルテ」や「ASOS」にならったものでもあるようだ。

ブランド側、リテイラー側としては、このような「カスタマー・パブリッシング」のほうが、直接商品の扱いをコントロールできるので、「売る」ことに結びつけやすいうえ、広告費がはるかに安上がりになる。消費者側も、エンターテイメント+ショッピングの楽しみがダイレクトに味わえ、しかも無料となれば歓迎する、と。

こんな容赦ない流れのなか、既存のファッション誌はよほどダイナミックに変わらないと、ますます厳しくなっていきそうだ・・・・。

◇そんな記事を読んでいた折、中国のファッション誌から寄稿依頼をいただく。送られてきた見本誌の数々は電話帳どころか辞書のようにずしりと重く、中国の経済状況の勢いを感じずにはいられない。提携しているのがいくつかの日本の人気ファッション誌で、何人かのモデルの顔は、見なれた日本の人気モデル。齋藤薫先生のコラムもある。広告の多くは日本でもよく見るヨーロッパを中心とするラグジュアリーブランドである。中国が日本発ファッション文化を猛スピードで追っている。

◇JFA(日本毛皮協会)通信には、日本国内のファッションをとりまく状況の問題点として、中堅デザイナーの販路が断たれていることが挙げられていた。百貨店や専門店もとりあげる余裕がなくなっているうえ、かつてはラグジュアリーブランドに押しつぶされ、今はファストファッションにやられている。打開策として、海外への進出が考えられている、とのこと。

冷え込み激しいヨーロッパも、発展が見込めない日本も、次の市場としてターゲット視しているのが、2010年にエキスポが開催される上海をかかえる中国。桁違いの消費が見込まれるらしい。

2010年のファッションシーンは、中国を台風の目として大きく変わるという予感がする。

◇秦早穂子さんによる「シャネル&ストラヴィンスキー」評、朝日新聞15日付け夕刊。

「音楽と香水が隠れた主役、白と黒の室内装飾、衣装、手作りの五線紙が脇役だ。そこから導き出される5の数字の暗示など、独創的発想が展開する」

「今や彼女は男を養う新しい女。ロシア・バレエ団への匿名の寄付も、身分の低いデザイナーの社会的地位を認めさせる挑戦状であった」

「矢のように上昇するシャネルの成功と心の影の落差を冷静に見つめ、監督ヤン・クーネンは本質だけを衝く」

知識に支えられたきめ細やかな観察、的確な鋭い表現。五線紙とNo.5の結びつきは盲点であった。さすが秦先生!と心打たれたのでメモ。

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