サヴィル・ロウにお仕立てスーツを作りにくるミュージシャンの話、英「フィナンシャルタイムズ」1月30日付け。いつか役立ちそうな話だったので、備忘録まで。

始まりは1960年代から70年代初期。サヴィル・ロウのテイラー、エドワード・セクストンがビジネスパートナーのトミー・ナッターとともに、ミック・ジャガーはじめ当時のロッカーたちのスーツを作り始めたこと。他のテイラーたちは、幅広のラペルや変わったタイを見てとても不愉快だったらしい。「ミックはトラウザーズを極端に細くし、ハイウエストにするのを好んだ」そう。

セクストンとナッターは、ビートルズの「アビーロード」のアルバムジャケット用のスーツも作る。セクストンはまた、ポールの娘、ステラ・マカートニーの師ともなる。現在のセクストンの顧客のなかには、ピート・ドハティやデイヴィッド・グレイも。ちなみにスーツの価格は3000ポンドより。

90年代にはアルマーニやヒューゴ・ボスの既成服スーツに走っていたスターも、現在はサヴィル・ロウに来ているらしい。ラップのブリンブリン(金ぴか誇示)に対する反動もある、と。

また、テイラーのリチャード・アンダーソンは、顧客にジョージ・マイケルやブライアン・フェリーがいるが、歌手には特殊なアレンジをするという。演奏した時にちょうどよい長さに見えるよう、腕を長めにつくるとか、汗を吸収するために脇下に小さなパッドをつけるとか。

ロールスロイス、カントリーでの邸宅と並んで、サヴィル・ロウのスーツがロッカーにとってのサクセスの象徴になっているというシメ。

ロックってそういうコンサバな価値への抵抗からスタートしたんじゃなかったのか?と読後ふと疑問がよぎったのであったが。

2 返信
  1. はすざわ
    はすざわ says:

    >ロックってそういうコンサバな価値への抵抗からスタートしたんじゃなかったのか?と読後ふと疑問がよぎったのであったが。<
    まったく、です!まあ、現在のブリティッシュ・ロックの現状には疎いので、そのことは置いておくとして、少なくとも日本じゃロック=反抗的なんて図式は完全に過去のモノになっちゃったんじゃないでしょうかね。
     あるいは、アメリカでは反抗の代名詞ともいえるラップも日本に来ると、皆さんやたらと素直というか、どうにもコンサバな価値観と結びついちゃう。あんたら、それでええんか、つい旧世代に属するオッサンとしては考えてしまうわけです。(とかいいつつ、自分自身はクラシック好きだったりするんですけど)

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  2. nakanokaori
    nakanokaori says:

    >はすざわさん
    若いミュージシャンが素直でコンサバなのは、世界的な傾向なんでしょうか? なにかに飢えている感じがしないですね。乗り越えたいとか反抗したいものがない、という印象で。そういうのが「低エネルギー世代」の共感をよぶ時代なのかもしれないですが。

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