タマラ・ド・レンピッカ展@BUNKAMURA。

キュビズムの影響もうかがわれる幾何学的な力強さ。アール・デコ的洗練。深遠に引き込まれるような恐怖もはらんだエレガンス。冷たい官能。レンピッカの世界に浸り、しばし暗くて妖しい白日夢を見ていたような気分になる。

「緑の服の女」は、ただただ全身で感じるしかない迫力の美しさ。表現する言葉も浮かばないので、ストラップを買って、毎日眺めることにした(笑)。「イーラ・Pの肖像」、「カラーの花束」にも、鳥肌が立つようなこの世のものならぬ感覚せりあがってくるし、「タデウシュ・ド・レンピッキの肖像」の金属のような表面感と、結婚指輪をしていたはずの左手をあえて未完成にするという表現(その後タマラはタデウシュと離婚)の人間くささに、心をわしづかみにされる。

レンピッカがもっとも奔放に彼女らしい輝きを発揮したのが、20年代から30年代初め、という比較的短い期間。その頃の作品をもっとたくさん見たいと思ったが、点数がすくないのが悔やまれる。大不況期~大戦に入るあたりから、世の中の暗いムードが作品に影を落とし、彼女らしさが薄まっていく。経済はやはり芸術にも大きな影響を及ぼしているのだということを痛く実感する。

レンピッカの最盛期の作品は、誰とも比べることができない。一目見て「レンピッカ!」とわかる、誰もまねができない「レンピッカ印」が刻印されている。芸術を志すなら、めざすレベルは「とりかえがきかない」というレベルであるなあ、と改めて思う。

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