5月刊の本の校正さんチェックへの回答をするため、編集者と打ち合わせ。校正さんはすばらしい仕事をしてくれる。自分では無意識に書いていて気づかないところや、引用文の一字違い、事実や年代のささいなずれなど、とことん、徹底的に、調べつくして指摘してくれる。ときに重箱の隅をつつくようなチェックもある。でもこれに答えようとすることで、自分の考えがよりクリアになっていくし、思いこみや勘違いにも気付くことができる。膨大な資料の山に、感謝。休日返上で綱渡りスケジュールにつきあってくれる編集者にも。

書けば書くほど、自信がなくなっていくし、すべてをひっこめてご破算にしたくなる衝動にかられる。こんなにげっそりとするまで時間とエネルギーをかけるほどの価値がある仕事なんだろうかと考え始めると、おそろしいほどの自己嫌悪におそわれる。でもこうして何人もの人が、少しでもよいものを世に出そうとして、真摯に取り組んでくれる。ひとりで本が書けるわけではなく、こういう人たちの力があって、やっていける。

ついでに、六本木ヒルズ森美術館の「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」を見ていく。写真、彫刻、オブジェ、空間アート、壁画、パフォーマンス、映像アートなどなど、20人ほどのアーチストが、それぞれにあらゆるかたちのアートを展開する。発想そのものに驚かされるものから、緻密な工程に感嘆させられるもの、驚かされるアートが多々あるなか、ん?と文化祭の延長のように感じるものまで、雑多に入り混じる。ただ、それぞれが、一種異様なアプローチで、じっと向き合っていると、現実のほうがヘンに見えてきて、心がざわついてくる。これだけ愚直に「<役に立たない>ものをつくる人」「表現する人」がいるということ、そのことじたいに、勇気づけられる。

「高いものが売れない」という報道ばかり聞かされているので意外な気がしたのだが、ヒルズは買い物客でなかなかにぎわっている。お高いレストランも、どこもほぼ満席状態である。先日の「21CNC」の会で、島田社長が、「日本は、<景気はこれからもっと悪くなるよね、日本はもうダメだよね。じゃあ、乾杯!>と言いながら酒が飲める珍しい国」、と指摘していたことを思い出した。

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