入江敦彦さんの『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』(洋泉社)読み終える。入江さんのキャラクター全開の楽しく軽い筆致でありながら、かなり細かくたっぷりとした量のデータに基づいて骨太に書かれている。これだけのデータを集めるのはものすごく大変なことだが、その大変さを読者に感じさせないのは、さらに力量が要ることだ。

ゲイの世界がこれほど経済とカルチュアに食い込んでいたとは・・・。これまで自分が見てきたと思っていた「クール・ブリタニア」の光景ががらりと一変するほどの衝撃だった。読後、景色が、それこそピンクに染まって見える(笑)。

「ピンクポンド市場と文化ソフト産業は互いに支えあっている。たぶん、どちらかがなくても決壊してしまう」

ゲイが動かす経済と文化ソフトの関係が解き明かされている過程もスリリングであったが、ゲイの人々の繊細でやや気難しい内面を文化ソフトとの関係のなかで解説する後半も、ひとしお興味深かった。「受け容れられる(アクセプタンス)」という感覚にはとても敏感に反応し、積極的に行動するが、それをはっきりと狙った見え透いたやり方にはソッポを向く、とか。ほんとプライド高いんだから(笑)。

ロシアのプーチン大統領の上半身ヌードの話は、私もuomo誌上でネタにしたことがあったのだが、あれがロシアのゲイコミュニティで人気を集めて支持率を伸ばすことにつながった、という指摘には驚いた。そこまで気づくはずもなかった私は鈍感もいいとこ。

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」と映画「リトルダンサー」のつながりの指摘も、ゲイ視点ならでは。「マンマ・ミーア!」「シカゴ」「メリー・ポピンズ」「オズの魔法使い」までも<キャンプ>、という見方には、目からうろこ。

<G指数>なる言葉がビジネス界に存在するということも驚きだし、最後に集められた「ピンクリスト」には茫然とするばかりであった。政界、経済界、メディア界の、あの大物もこの大物も、ゲイだったのか! ゲイであることと、そのセクシュアリティがその人の仕事の成果にどのように関わってくるのか、ということがきちんと説明されているところが、圧巻。このあたりになると、頭がくらくらしてくるのも本当なのだが(笑)。

タイトルは、1997年に保守党の巨人に打ち勝って奇跡の当選を果たしたゲイの政治家スティーヴン・トゥイッグから、入江さんがひきだしたことば。

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