◇日本のファッション誌と中国のファッション誌の提携を仲介するお仕事をなさっている王暁燕さんに、中国の詳しいファッション事情、雑誌事情をうかがう。
Ray, Classy, Vivi, Mina, Glamorous などの提携誌が中国でも売り上げ上位の雑誌に入っている。Rayは100万部近い売り上げを誇るそうである。薄くなる一方の日本のファッション誌とちがい、ブランドの広告がたっぷり入って電話帳のような厚さになっている雑誌も多い。「ハーリー族」という親日の若い人たちが、日本のアニメやファッションに夢中になっていることが背景にあるほか、急激にリッチになった人たちが、ブランド品やエステなどに湯水のようにお金を注ぎ込んでいるという生々しい事情があるようだ。
ブランド店で「ここからこここまで全部ください」という「お大名」な買い方をしたり、野菜を保存するような大きな麻袋に現金を入れて買い物をしたりするという新興リッチ層の話には驚くばかり。
日本で撮影をして100カット以上も撮り、日本のスタッフ(カメラマン、ヘアメイク、スタイリストなど)が「これがベスト!」と選んだ最高のショットを、中国側の編集者はおうおうにしてあまり採用しない、という話も興味深かった。洗練度が高すぎると、中国の消費者は、「自分との距離がありすぎる」と敬遠してしまうのだそうである。プロの目から見たらややランク低めの、手が届きそうな、親しみやすい感じ。これが今の中国では受け入れられるのだと。
西洋人の容姿はかけ離れているけど、日本人は同じアジア人ということで肌や髪の色も近く、身体のバランスも近い。そのこともあって日本のファッション、ヘアメイク情報は、西洋の雑誌情報以上に、熱い模倣の対象になっているらしい。
そんなこんなの興味深い中国のファッション事情を、小人数クラスの学生とともに、興味深くうかがった。重たい雑誌をたくさんもってきて真摯にお話くださった暁燕さん、ほんとうにありがとうございました! 現場に携わる方のお話は、説得力がありました。
写真は暁燕さんにいただいた、上海万博のおみやげ。シルクの巻き物に、書。なにが書いてあるのかわからないのだが(・・・)迫力あるビジュアル。
◇同じアジアでも、韓国では水光(ムルグァン)メイクというものが流行している、と別の小人数クラスの学生の報告で知る。韓国のほうは、パールの下地を使い、肌はつくりこむけれども、ポイントメンクはティントでごく薄めにするというメイクが流行中で、日本のいわゆる「ナチュラルメイク」よりもかなり薄い印象。
このクラスの、韓国からの留学生は、日本のドラマと韓国のドラマの徹底比較も披露してくれた。韓国ではCMは最初と最後だけ、途中に入ることはないということ。60分ドラマが週二回(!)のペースで続いていき、スケールも大きいこと。戦隊レンジャーものが、韓国には存在しないこと。家族ドラマが多くて老人の俳優の登場場面が多いこと。視聴者の意見が重視され、脇役でも人気が出れば、その人を主役とするようにドラマが変わっていくこともあること、などなど興味は尽きなかった。
学生のリアルなレポートに、学ばせていただくこと大。感謝。
書評系ブログ「情報考学 Passion For The Future」で
先生の『モードとエロスと資本』が取り上げられていますよ。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/06/post-1229.html
次回作にはぜひ「エロス」と「タナトス」に踏み込んだ作品を期待してます。
>Kiichiro さん
お知らせいただき、ありがとうございます。読んでくださる方がいて嬉しいです。
エロスとタナトス。手に負えるのか?状態ですが、ちょっとずつ勉強します。