吉田修一『横道世之介』(毎日新聞社)読み終える。

ひとりの好青年と、彼をとりまく魅力的な友人たちの、何気ないけどいとおしい日々を、きらきらと光らせてみせる。さりげなくはさまれる、彼らの何十年後かの姿が、そんな日々に「重み」を添える。

ひとつひとつのエピソードが、CMドラマにしたくなるような(?)楽しさだが、なかでもいちばん好きなお話が、帰省先での正樹とのケンカ。本気の殴り合いのケンカになるも、両者の父親の反応といい、酔客の反応といい、どこかのどかで、しかも結局、正樹からいろいろメリットをうけることになるのが、えもいえずおかしい。

終始笑顔で読ませ、最後の、世之介の母が祥子にあてた手紙でどっと泣かせる。巧いのに巧さの押しつけもない。とても風通しよく、あたたかな読後感を与えてくれる小説。

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