「トリックアートの世界展」@損保ジャパン東郷青児美術館。

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記憶も鮮烈なBUNKAMURAの「だまし絵展」と、どのような違いを見せてくれるのだろうか、というちょっぴりイジワルな期待を抱いていったのだが、「日本のアーチストにこんなすばらしい人たちがいたのだ!」という発見が多かった。

まず、スーパーリアリズムの至芸を見せてくれた、上田薫。「なま玉子」「玉子にスプーン」の絵の前で立ち尽くしてしまった。写実という点において、絵画は写真を超えられない……というのは、まったくの偏見だと思い知らされた。絵画は写真を超えられるのだ!200個ぐらいの玉子が割れる瞬間を写真撮影し、そのなかの一枚を克明に描いたという一枚は、これぞリアリズムを超えるスーパーリアリズム、と納得。日常見慣れている光景であるはずだが、決して肉眼ではとらえられない非日常的な一瞬が、立ち現れている。

そして、立石大河亞(タテイシ・タイガー)。「車内富士」という4コマ浮世絵風のシュールな絵画に、笑って興奮!

森村泰昌の、ゴッホになりきりポートレイトも、「鼻つき洋梨」の批評性にも、相変わらず感心させられる。

極めつけは、福田美蘭かな。おなじみの名画が、名画の中の登場人物のひとりの視点から描かれる、というパロディのような絵。ベラスケスの「ラス・メニーナス」、マネの「草上の昼食」、ボッティチェッリの「春」、ダ・ヴィンチの「聖アンナと聖母子」といった、教科書に出てくるような名画が、「絵の中のひとりの登場人物」の視点から、違う角度から、描かれる。「名画」の格式ばったありがたさが、がらがらと崩れてニヤリとするとともに、かつて味わったことのない不思議な興趣をおぼえる。

常設されているゴッホの「ひまわり」も初見。ああ、これがあの有名な、という種類の感動。絵の前のソファに座り、眠りこんでいる(たぶん何時間も)観客、数人。その前から、去りがたい絵なのであろうなあ。

外気35度のなか、新宿西口ビル街にそびえたつ損保ジャパンビルも、熱気のあまりゆらゆらと、どこかだまし絵のように見える。

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