韓国映画「TSUNAMI」試写@パラマウント。ハリウッド風パニック映画の範疇に収まらない、感情をはげしくゆさぶる堂々たる映画として成功している大作。

長年の思い合いの末、ようやくプロポーズの返事をもらえるかどうかという、幼なじみカップル。

自分を本当の父とは知らない7歳の娘に再会した地質学者。その元妻のキャリアウーマン。

海洋救急隊員と、金持ち浪人中の都会の女子の、始まりかけたばかりの恋。

定職についたことのないチンピラと、そんな息子を案じる貧しい母。

平凡な、でも真剣に人生を生きているフツーの人たちの思いが、高さ100メートルのメガ津波の襲来に、どう耐えるのか、変わるのか、呑みこまれるのか。

津波のシーンの、すさまじい迫力に負けず劣らず丁寧に描かれるのが、そんな市井の人々のこまやかな感情。だから単純なパニック映画に終わっていなくて、見終わったあとも情緒をこってりとひきずる。ハリウッドCG映画にありがちな鼻白み感が皆無。

ことに強い印象に残ったのが、「午後3時の男」(=中途半端)と形容された、海洋救急隊員のイ・ミンギをめぐるストーリー。女の子主導でコミカルに恋がすすんでいくのだが、彼が最後に下す決断には、涙がしぼりとられる。

恋、愛、家族愛、恐怖、使命感、笑い、悲しみ、畏敬、パニック、絶望、希望、赦し、崇高、ありとあらゆる感情を、大がかりなアクションが連続する短い時間のなかで呼び起こす。語り口も巧みで、大画面を生かしきった、映画らしい映画。

これが最期とわかった瞬間、自分ならだれを救おうとして走るのか、なにをその人に伝えるのか、思わず考え込ませるような力もある。

9月25日公開だそう。もう一度、大劇場で体感したいと思う。

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