◇「世界の腕時計」No.105。織田一朗さんのエッセイ「死なない細胞が存在する」より。

時間生物学(という学問分野があるのか!)専門の井上慎一元山口大教授の「死の生物学」と題する講義からの引用が興味深かった。つまり、引用のまた引用になるわけだが、示唆に富む話だったので、メモ。

「バクテリアなど原始的な細胞には死がなく、大腸菌は環境が許す限り分裂を繰り返し、劣化しない。細胞の性向に、劣化や死が定着したのは生殖機能を持つようになった17億年くらい前からで、『性』の機能を手に入れる代償に、細胞に老化と寿命が生ずる結果になった」

性の機能とひきかえに、老化と寿命が生じるようになった……。エロスとタナトスの問題を考える上でも、インスピレーションに富む指摘。

もうひとつ、シチズンの「エコ・ドライブ ドーム」のコンセプトに関する、デザイナー御園昭二さんの話が、印象的だった。

「ここで表現したかったのは、人がエコ・ドライブを付けることで、クリーンエネルギーを身に纏っていることを実感してもらうこと。ドームになっているのは、モーターのようにデザインすることで、この中でエネルギーが作りだされているイメージを作りたかったのです」

エコ・ドライブ機能を持つ時計を身に付ける=クリーンエネルギーを身にまとう。コンセプトが明快で、それがビジュアルとして伝わってくる。機能とコンセプトとデザイナーの思いが、デザインとしてすっきり表現されていることに、感動。

商品開発のための4つのキーワードも、心に残る。Clear Focus, Continuous Evolution, Cool Detail, Comfortable Harmony。つまり焦点がはっきりした明快なアイデンティティー、一貫した継続性をもって進化する態度、行き届いた細部、心地よい調和。あらゆる仕事に応用可能な名言に思える。

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