◇マイケル・ムーアの「キャピタリズム:マネーは踊る」DVDで。原題はCapitalism: A Love Story。ムーアによるアメリカ資本主義に対する激しい告発。「こんな国には住みたくない。だから闘う」という、これもムーアのアメリカに対する「ひとつの愛の物語」、ということなのだろう。

現在の大不況をもたらした資本主義の暴走が、たたみかけるように描かれる。冒頭のローマ帝国との対比の描写からして、引き込まれる。たしかに、<数百年後、歴史家がこの時代をどう描くか?>という視点から現代を見ると、悲惨な時代として描かれる過去のどの時代にも負けず劣らず、下層大衆は虐げられているようにも見える。

ショッキングだったエピソードはいくつもある。PA Child Careという少年院。民間に管理を任され、営利目的になってから、非行ではなくただの思春期の反抗程度の行為まで片っぱしから有罪にし、予定よりも長い期間、少年や少女を施設にとじこめる。本当だとしたら、虐待どころじゃない、ひどい話だ。

パイロットの給料が極端に低いこと。ファストフード店の店長のほうがまだ高給取りで、パイロットは生活していけないので、副業をしたり、自分の血漿を売ったり(!)して食いつないでいるとのこと。驚愕。

ウォルマートなどが、社員に生命保険をかけ、社員が死んだら会社が多額の保険金をもらっている。死ぬ社員は若ければ若いほど、高い保険金が出る。

優秀な頭脳が科学技術開発などの方面に行かず、みな金融界に行く。多額の学生ローンを負っているということもあり、学生たちはとにかく金を稼げる方面へ向かっている。そうした優秀な頭脳は、「デリバティブ」(金融派生商品)という複雑怪奇な儲けのシステムを開発することなどに使われ、金融界がますます「狂ったカジノ」化している。

下層階級が、あおられたあげく組んだローンを払いきれず、家を追い出されている一方、富裕層にはFOA(フレンド・オブ・アンジェロ)などという、頭取とお友達ならば金利を安くする、という特別優遇措置がある。かくしてますます格差拡大はあおられる。

「銃を乱射したい人の気持ちがわかる」と家を追われた一人がつぶやいていた。レーガンからブッシュに至るまで推し進められてきたアメリカ型資本主義の病根は、おそろしく深いように見える。これを治癒するのは並大抵なことではなさそうだ・・・。

激しい怒りをかきたてられる内容ながら、どこでも恐れず突撃していくムーアのガッツが、同時にユーモラスな味わいも醸し出している。それがあるので、映画として観て、少し救われるようなところもある。

◇「そんな彼なら捨てちゃえば?」DVDで。原題はHe’s not just that into you. (彼はそれほどあなたに興味がないだけ)。 

デートの翌日に電話がない。その理由は、忙しいからでもなく、焦らす作戦からでもなく、遠慮しているからでもなく、電話番号をなくしたからでもなく、ただ単に「それほどあなたに興味がないだけ」。そりゃそうだろうな。男女関係における各種定番の悩みごとに対する本音(らしきもの)が、セリフとしてずばずばと出てくる。

最終的に愛を獲得したカップルは、結局、「ルール」をはずれた「例外」だったというあたり、この手の映画の定石ともいえるかも。

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