「白洲次郎」Disc2&3。Disc2は「1945年のクリスマス」。近衛内閣のもと、日本が戦争に突入していき、敗北、GHQのもとにおかれるまで。

「責任」を押し付けるターゲットをあげ、とことん攻撃したたきつぶそうとする日本人のメンタリティが当時も今も変わらず、やるせなくなる。プリンス近衛の描き方が秀逸。国内に敵を作りたくなかったがゆえに、流れに掉さそうとせず、判断を誤って日本を戦争不可避状況にしていったという意味ではたしかに「戦犯」かもしれないが、時代の流れに翻弄された犠牲者でもあるなあ、と憎しみや憐れみとともに考えさせる。心の奥底では何を考えているのかわからない複雑な近衛文麿を、岸部一徳が好演。

「戦争に負けて外交に勝った歴史もある。いいか、われわれの見据える着地点は唯一つ。誇りある日本の再生だ」という吉田茂(原田芳男)の迫力が強く印象に残る。吉田茂のことをもっと知りたくなる。

Disc.3 「ラスプーチンの涙」。サンフランシスコ講和条約を成立させ、日本の再生のために次郎が吉田茂の陰のブレーンとして奔走する戦後。

まずは外貨を獲得することが先、と信じて行動する白洲次郎が、当時あれほど激しいバッシングにあっていたということは知らなかった。罵倒されようと、どのようにひどい書かれようをしようと、「誰かが汚れをひきうけなければ日本の再生はない」と腹をくくって批難のことばを浴びていた次郎の姿に泣ける。

メンズ誌や白洲グラビア本が好んでとりあげる白洲次郎は颯爽としてかっこいいところばかりだが、このドラマを見たら少し見方が変わる。先を見すえて信念をもって行動しつづけたがゆえに、苦労と努力と面倒が絶えなかった生涯をおくった人として描かれる。

厳しい時流のなかで闘わなくてはいけない若い人たちにも、ぜひ見ていただきたいドラマ。

2 返信
  1. Ken
    Ken says:

    戦後はアメリカとの利害調整をうまくやれば国際関係の中でポジションを保てた日本ですが、今後は中国という「大国」やインド、ブラジル等様々なステイクホルダーが増えていく中で、日本はどんな「プリンシプル」を持って外交に臨むのかが問われそうですね。
    もしかしたら、今後の日本は長期的に衰退していく中で、どのような「負け方」がもっとも美しいのかという、退廃的な美学を追求しないといけない時が来るのかもしれません。。

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  2. kaorinakano
    kaorinakano says:

    >Kenさん
    政治的にはそうなのかもしれませんが、学生はじめ、若い人の間では、「もうとっくに負けている」というゆるい認識が広がっているのを感じます。彼らの世代的には、「負け方をどうするか」というよりもむしろ、負けているところからスタートする、というか、ダメダメ状況のなかでどうやってサバイバルの道を見つけていこうか、という感覚なのでしょうか。

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