講義終了後、シャガール展@東京藝術大学大学美術館。終了間近だからか、雨なのにたいへんな混雑。入場制限にひっかかり、およそ20分待ちでようやく入場できる。

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強い色彩で描かれた、幻想的というか白日夢のようなシャガールワールド。超有名な「ロシアとロバとその他のものに」(1911)はやはり圧巻で、しばらく絵の前で呪縛にあう。

1966年から67年にかけて、シャガールがニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のために「魔笛」の舞台美術の仕事をしていたということを初めて知る。舞台の背景幕の下絵もシャガール印の濃厚さがうずまいてこってり楽しいが、シャガールによる衣装デザイン画の数々がなかなかかキュートで、思わぬ拾いものをした気分。

ただ期待が大きすぎたせいか、肝心のシャガールの作品の点数が少なかったことと(ほかのロシア前衛芸術家たちとの出会いもそれなりによかったけれど)、関連ドキュメンタリー映画を観たかったのに、立ち見の人が外まであふれていてまったく観られなかったことが、残念。52分の上映なので、交替まで小一時間も待たねばならないのだ(待てません)。この映像だけDVDで発売してないだろうか。

そんなわけで若干の不完全燃焼感は残るものの、戦争やら革命やら亡命やら愛妻の急逝やら再婚やらのさまざまな劇的なできごとを経ながら描き続け、90歳でなお傑作「イカルスの墜落」を完成させているシャガールの画家人生に、静かに励まされた。

藝大周辺は、独特の雰囲気のあるところで、しばし散策。雨にけぶる「旧東京音楽学校奏楽堂」のたたずまいも、味わい深い。

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