◇「大人のロック!」特別編集「永遠のクイーン」(日経BPムック)発売です。来年度のカレンダー付き。フレディ・マーキュリーのファッションについて語っております。機会がありましたら、ご笑覧ください。

◇ゼミ生とともに、「きらめく装いの美 香水瓶の世界」展@東京都庭園美術館。

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古代から現代まで、年代を追って香水と香水瓶の歴史がよくわかる、秀逸な展示。香水の歴史そのものには親しんでいたが、本物のボトルコレクションをこれだけまとまった形で見るのははじめてのことで、新しい発見が多かった。

1981年のキャロンのバカラ社製の「フォンテーヌ・ア・パルファン」には驚く。香水を生ビールのようにディスペンサーから量り売りするための巨大なボトル。

1990年にエルメスが天皇陛下御即位記念香水瓶として作った、ティアードスカートのような三重の塔のような荘厳なボトル。サン・ルイ社製。

1940年のランヴァン、「プレテクスト(口実)」の、なぜか雪だるま型香水瓶。1938年のスキャパレリ、「スリーピング(おやすみなさい)」はユーモラスなキャンドル型。

19世紀の卵型香水キャビネット(卵が開くと中には数種類の香水ボトルが収められている)。などなど。ボトルの形、素材、装飾、そしてネーミングに、あらゆる想像力が駆使されている。ルネ・ラリックの「キャトル・シガル(4匹のセミ)」、やはりラリックの「エピーヌ(棘=トゲ)」。なぜに、セミ(笑)。

アールデコ様式の旧朝香宮邸=庭園美術館の入口で出迎えてくれる、巨大な「香水塔」からはほのかによい香りが漂う。噴水塔の上部の照明部分に香水をたらし、照明の熱で気化させ芳香を漂わせたという「塔」。気化させた香りであるためか、アロマデフューザーなどで放たれるフレグランスよりもまろやかな印象。

図録もずしりと厚く、香水の歴史の本として読み応えがある。巻頭序文には、監修者でもあるマルティーヌ・シャザルによる力強いことば。「限界を乗り越え、美を刷新し、創造する能力を示す人間の最大の美点がそこに発揮されていることがわかるでしょう」

「限界を乗り越えようとする力」。ファッション史に惹かれるのは、まさにそんな力が見え隠れするからだ。理屈ではどうにもできなくなった現状を突破できるような新しい美というエネルギー。嗅覚に直接働きかける香水にも、そんなパワーが確実にある。

2 返信
  1. Ken
    Ken says:

    香水は文学や映画でも重要な小道具として使われますよね。
    『風とともに去りぬ』のスカーレット・オハラがすごく印象に残りました。
    日本では、男性の香水の使い方は難しいと思います。いわゆる「お兄系」(という分類は今でもあるのでしょうか…)に見られるリスクをはらんでいますし。。
    なので、せっかく友人にプレゼントされたディオールの香水は、飾り棚で静かに佇んだままです。

    返信
  2. kaori nakano
    kaori nakano says:

    >Kenさん
    ヨーロッパとは湿度が違うし、
    日本人はむしろ「無臭」が好きですね。
    消臭テクノロジーにかけては世界一では?(笑)

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