山口裕美『観光アート』(光文社新書)。日本全国の、一度は訪ねてみたい美術館ガイドつき。美術館ガイドブックとして購入したが、現代アートをソフトパワーとして生かし、誘客につなげている各地の試みが具体的に紹介されている前半も興味深かった。意外と、知らなかったことばかり。

・2010年4月、観光庁はJapan. Endless Discovery.(尽きることのない感動に出会える国、日本)という新しいキャッチフレーズを発表していた。

・2009年、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」が発表された。紹介された美術館が158か所もある。うち三ツ星6か所。東京国立博物館、京都国立博物館、MIHO MUSEUM、九州国立博物館、飛騨高山美術館、久保田一竹記念館。二つ星は32か所も。

・Cool Japan という言葉は、2002年に米外交誌「フォーリン・ポリシー」誌に掲載された論文で、ダグラス・マックレイというジャーナリストがはじめて使ったもの。彼が、Japan National Coolという論文で、「失われた10年」こと90年代に、日本が、経済の低迷とは裏腹に、アニメ、マンガ、ファッション、ゲームソフト、アートなどのポップカルチュアを熟成させていった、と指摘。GNCは「国民総クール指数」。

・アートによる町おこし、島おこしの成功例として、香川県の直島をはじめ、瀬戸内の島の数々。機会があればぜひ行ってみたいと思う。金沢市のアートプロジェクトの成功理由も納得。

・「現代アーティストたちは、薄くなった空気を命がけで知らせる炭坑内のカナリアのように、少し先の未来を危機感を持って作品にする。また、誰もがうっすらと感じている事象や意識、さらに同時代に生きているからこそわかる、さまざまな不安感などを作品として世に出す。(中略)つまり、私たちはアーティストが創りだす作品によって、自分が自覚できないような自分自身の問題があぶり出されることがあるということだ。同時代を共有する作り手のアーティストと鑑賞者の自分の間にある作品が、客観的に自分を見るきっかけになるのだ」……過去のアートを見るときにも、この点は強く実感する。アートに問いかけられているというか。

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