ゼミ・小人数クラスの学生とともに「その名は蔦屋重三郎」展@ミッドタウン内サントリー美術館。

Tsutaya

TSUTAYAの創業者があこがれて、その名にあやかろうとしたという江戸の敏腕プロデューサーにして版元、蔦屋重三郎をめぐるネットワークに焦点をあてた、ユニークな視点の展示。

吉原遊郭のガイドブックである吉原細見、喜多川歌麿による美人画に美人大首画(なかでも青楼十二時)、狂歌連と狂歌絵本、十か月だけ活躍した謎の絵師、写楽。点々でぼんやりと知っていただけの江戸文化の象徴が、蔦屋重三郎というメディアプロデューサーを通じて有機的につながっていく。

個人的には、歌麿画&宿屋飯盛撰の「画本虫撰」が、意外な拾いものだった。へび&とかげ、せみ&くもなど、虫(爬虫類系の生き物をふくむ)を詠題にした、狂歌合。詠まれる歌があまりにも粋で、あとからカタログでじっくり読みなおそうと思ったのに、豪華なカタログには肝心の狂歌が書かれていない(会場では、江戸文字の現代語訳を書いたパネルが展示してあった)。不親切。なんのための高価なカタログなの。

美人大首絵、すなわち美女のクローズアップは、歌麿が考案した構図で、これによって美女の表情や内面にまで迫った……ことになっているが、正直言って、現代の目からは表情どころか、美女たちの顔の違いもよく判別できない。300年後の日本人が、キャンキャンモデルたちの顔の違いを判別できないようなものか。

その点、写楽の絵は、キャラがしっかり立った顔を描いていて、もっとも親しみやすかった。当時の日本人にはウケが悪かったそうだが、西洋人の視点からは、写楽は世界三大肖像画家の一人(あとの二人はレンブラント、ベラスケス)。

視点をちょっと変えて「プロデューサー」に焦点をあてるだけで、江戸文化もこれまでになかった新鮮な見方でとらえなおすことが可能、と教えられる。

蔦重は47歳で亡くなっている。その若さで、これだけの仕事の質と量。石川雅望が撰した蔦重墓碑銘:「其の巧思妙算、他人の能く及ぶ所にあらざるなり・・・(以後略)」。

◇「25ans」1月号発売です。「カルチャー美容液」のコーナーで、「姫になれるドラマと映画」を紹介しています。ちっちゃい欄ですが、機会がありましたらご笑覧ください。

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