◇「オーケストラ!」DVDで。BUNKAMURAで上映していたとき、のこのこと行ったら満席だった映画。DVDになってやっと観て、人気のほどを納得。やはりこれは劇場で見ておくべきだった。

ボリショイの元天才指揮者の、30年後の痛快なリベンジというか、そこで断ち切られてしまったさまざまな人生の総まとめ。やや野暮なロシアっぽいどたばたも適度なスパイスになって、ラストのチャイコフスキーのバイオリン協奏曲のステージが、涙なしには見られない。浄化されるような感動を用意してくれる映画に、久々に出会った。

◇みうらじゅん×高見沢俊彦×リリー・フランキー『ボクらの時代 ロングヘアーという生き方』(扶桑社)。フジテレビで放映されたトーク番組の、書籍化版。

なにか建設的なことを言ったり意義のある議論をしていたりということはまったくないのだが、3人のなかに流れる空気感、無意味な(でもオリジナルな)ことばのやりとりがばかばかしくておかしく、読んでいる間、口角が上がっている(笑)。字も大きいので30分ぐらいで読み終えられる。トークのリズムそのものを楽しんでいればいい本だけど、教えられたことも多々。

仏像って置き方が完璧にロックバンド、という話。「(みうら)完璧に須弥壇がステージで四天王が警備員で文科系が歌うっていう。菩薩がベースとギターでボーカルが大日如来でっていう。あのへんが、『そうかあ』みたいなねえ、妙に納得したことがありましたね。あのステージングを、みんな結局はまねしているわけですからね」

草食系男子というのが、想像上の生き物で、実際には「いもしない」、という話も。「(リリー)草食系なんて言ってるのは、女の人が『この人私に手ぇ出さなかったから草食系なんだわ』で済まそうとしてるだけで。たぶんその女の人に魅力がなかっただけの話なのに、フラれた理由を『草食なんだー』にしてるんですよ」

人は怖いものに名前をつけて恐怖をやわらげる、とか、変態は行儀がよくてやさしい、とか、天才は親がケアしてあげないといけない、とか、童貞はこじらすと不治の病になる、とか、ロングヘアーな方々ならではの真実(?)の指摘に、笑いつつ納得する。

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