湯山玲子『四十路越え!』(ワニブックス)。あまりの衝撃に、2日の間で3度読み返してしまった本。湯山さんのエネルギーにあやかるべく、味の素に「グリナ」を注文し、ヒグチに「スーパーグビル」を買いに行く。「ヘビの生血と生キモをバイカルという強いアルコールにとかしたもの」はさすがに日本ではムリみたいだが(笑)。

恋愛、セックス、健康、美容、ファッション、仕事、という女性誌に必ず登場する6大テーマそれぞれにつき、日本の女子にかけられている「呪い」(=チャレンジをさまたげるブレーキになっているワナ)をあばき、より充実した現実的果実を得るための戦術を説く。

これがもう、タブーなき戦術、というか従来の「常識」の枠外を行くもので、でもさもありなんというリアリティがあり、えー!?と笑いつつ、気持ちが自由になる。挑戦したい思いがあるのにカビくさい世間通念にしばられて身動きがとれなくなっていたり(アクセルとブレーキを両方ふんでる状態)、語られつくしたハウツーにふりまわされて可能性をつぶしていたりすることが、ずいぶんあったのだと痛く思い知らされる。

・「選ばれるためのほとんどの努力は無駄であり、選ばれなくっても結構!」

・「恋愛を因数分解せよ」(=デート、友情、同士愛、性欲、には無限の組み合わせのレイヤーがある。自分の欲望を冷静に見つめることから、男女間の良好な関係が生まれる)

・「彼女たち(=『私って恋愛体質なの』と公言する女性)はとにかく飲みに行っても話題は男と恋愛とセックス話。そして、男ゲットのための身体とファッション、美容に人生の莫大な時間をかけています。しかしながら、このタイプはあまり男性にモテない。本来ならば、ヤッてしまえば目的貫徹なので御の字のはずが、そこに彼女たちが考えるところの『恋愛手続き』を求めてくるので、男性は面倒くさくてしょうがない。恋愛体質作りに人生をささげているので、人間的な面白味も話題もあまりない。最近よく出くわすようになった、恋愛大歓迎の自称、肉食女に対する違和感もそれですね。いいオトナなのに性欲をセルフコントロールできず、それを恋愛の美名において全部、男性に過大要求する面の皮の厚さを私はどうしても感じてしまう」

・「鴨長明の呪い」=「彼は晩年、一丈四方の庵を建て、その突き詰めた空間から想像の翼を広げ豊かな精神生活を送ったのですが、その心は『現実のセックスなんて貧しくて結構、その代わりに思いっきりイメージの方は遊ばせてもらいまっせ!』というニッポン男子の性癖そのまんま」

「モテる女は『オモロイ女』」=「女性の魅力からセックスが切り離され、お手軽かつ小売りにされている今、なおかつ、男性にとって魅力的な女性とは、『一緒にいる時間が楽しい』か『尊敬』。ここに賭けるしかありません」

・「『褒められたい』動機は身の破滅」

・「感情で仕事をせよ」=「実際、感情が伴わないと仕事に迫力が出ないし、逆に感情が伴わない仕事は続けるのもつらいものです」

・「無理をせよ」=「面白いことには、たいてい無理をした時に出会える、と言っていい。無理をせず、安全圏で行動していると、もはや心はワクワクする機会を失い、非活動の坂を転げ落ちてしまう」

などなど、深く納得のことばが満載だったが、もっとも驚き、半信半疑ゆえに強烈に印象に残っているのが、誘う女の方法論。「その気にさせてから口説く」のではなく、「口説いてからその気にさせる」ほうが成功率が高いことを暗に説くのである。ノーだった場合、「ガラスのハートをゴルゴ13化せよ」とも(!) 

凡百の「女性の幸福」本を軽くふっとばすパンチの効いた一冊。

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