「ザ・ウォーカー」DVDで。原題は、The Book of Eli。「イーライの書」。戦争で空に穴があき、大量の紫外線によって地球が廃墟状態と化して30年たった時代に、人類を救う一冊の本を背負って黙々と西へと向かう男をめぐる、近未来SFにして宗教的な原イメージを描く物語。

モノクロームにちかい色彩効果で描かれる廃墟の映像が、殺伐として荒涼たる「原イメージ」感を強めている。近頃のハリウッド映画には廃墟が頻繁に描かれるような気がするが、なにか集合的な潜在意識の投影なのか、それともコンピューターのプログロムで「廃墟」モードにするとこういうのがすぐ作れるようになったとか。

宗教感が日本人にはなじまないところがあるが、本に書かれる言葉が人の心を、ひいては行動を支配し、人類をまとめあげる働きすらするという考え方には深く共感を覚える。

はじめに廃墟のような混沌があり、神の言葉によって天地がつくられ、文明が栄え、神の言葉を忘れた人間によって文明は滅び、そして廃墟の中からたったひとりの人間が立ち上がり、彼が運ぶ神の言葉で再び文明が始まる……という円環を感じさせるラストシーン。人間は結局この繰り返しを生きているのかもしれない、と思わされる。

ゼロから始まり、アナーキーに栄え、ゼロに回帰する、というぐるぐる円環で、ホドロフスキーの「エル・トポ」を思い出した。映画に目覚めるきっかけになった、運命のカルト映画。

デンゼル・ワシントンが「金目のもの」として差し出すKFCのウェットタオル。30年たってたら乾いてるのではないか?とつまらないツッコミをしてみる。

「ローマ」のプッロ役、レイ・スティーブンソンが出ていてうれしかった。ゲイリー・オールドマンの手下役で、プッロ同様、女の子に弱い、みたいな設定だったが。いつか堂々主役をはってほしい俳優。

DVDの終わりにオマケとしてついてた「レバリッジ」というテレビドラマのエピソード1が、なかなか楽しかった。本編があまりにも暗くてシリアスなので、明るく痛快なオマケをつけたのかな?と邪推しつつ、つづきを見たくなる。

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