◇「告白」DVDで。原作の凄みをそのままに生かしながら、映画ならではの演出もたっぷり堪能させる、中島哲也監督の力量。松たか子の無表情の怖さったらないし、後任熱血教師の明るい単細胞の浮きっぷりもみごと。ワンシーンワンシーンにねじきれてしまいそうな感情がほとばしっている。

凄絶な話なのに不思議な爽快感、カタルシスが残る。というか、感情を何回転もぐるぐるひっぱりまわされるジェットコースターにのせられたあとの脱力感に近いような感覚。

◇小山薫堂・企画、富増章成・哲学監修『お厚いのがお好き?』(扶桑社文庫)。基本的教養とされているマキャベリ、ニーチェ、孫子、パスカル、サルトル、フロイト、ソシュールなどなどの偉人の業績と生涯を、おそろしく卑近な例を使いながら短くそのエッセンスのみ解説する、というムボーな試みの本。感心したり呆れたり笑ったりしながら、けっこう知識もついてくる。

「女子アナで読み解くサルトルの『存在と無』」とか、「駅弁で読み解くソシュールの『一般言語学講義』」とか、なんだよそれ?とあきれるのだが、このばかばかしいアナロジーで意外と本質がよくわかった気になれたりする(失敗している例もときどきあるのがご愛敬)。

ちょっといいな、と思った話がパスカルの賭けの話。「神がいることに賭けたまえ」というパスカルのことばのココロは、「勝ったら総取り。負けても損はない」。もし神様がいれば永遠の幸福が手に入る。でももしいなくても損はしないだろう、と。

このおおざっぱな本質理解をもとに、原典にもう一度あたってみることができればサイコーなのだが、「言うは易し」で、月日は流れていくのだなあ。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です