◇DVDで「ソルト」。アンジー様が七変化しながら披露する大胆華麗なアクションの連続を愛でよ、といった印象だけが残る映画。

◇澁澤龍子・編、沢渡朔・写真『澁澤龍彦 ドラコニアワールド』(集英社新書ヴィジュアル版)。これもヴィレ・ヴァンで買う気になった本。ふつうの新書欄に並んでいてもダメだったが、夢野久作のとなりに並んでいたら、興味がわいた(笑)。

貝殻、石ころ、昆虫といった、少年が拾ってくるようななにげないものでも、澁澤ワールドというコンテクストのなかにおさまると、とたんに意味をもってきらめきはじめる。そういう澁澤の「お宝」を沢渡朔が艶っぽく写真にとり、それぞれに関し、澁澤の解説(といっても、そのお宝に関する記述がある過去のエッセイの一部分を抜粋したもの)がつく。

ほんもの?!と思わせる生々しい頭蓋骨もあるが、これは模型で、本物の頭蓋骨を所有するのは、法律で禁じられているのだそう。

生まれ変われるなら、できるだけ下等な動物に生まれ変わりたい、と書いていた澁澤龍彦。「人間は、理知とか感覚とかを一つ一つ切り捨てて行って、生命の根源、存在の本質に近づくのが本当ではないかと思う」。

三葉虫が人類文明の何千倍という長期にわたる文明?時代を築いていたかもわからない、と考えると、「ヒューマニズムなどというものは、まったく意味のない、吹けば飛ぶようなものに思われてくるから妙である。(中略)一時期、地球上に覇を唱えた動物は、これまでの例では、かならず絶滅している。どうして人類だけが絶滅しないという保証があるか」。

「わたしは絶滅した動物が大好きだ。比較的最近でも、駝鳥のようなモアとか、白鳥のようなドードーとかいう鳥が絶滅しているが、彼らは鳥のなかでも、なにか高貴な種族のような感じがする。いわんや三葉虫、アンモン貝においてをや」

こういう長大な視点をときどきもつと、目前の現実のできごとの見え方も違ってくる。

没後、こういうふうに遺品を慈しんで整理し、さらに本として紹介してくれる遺族(龍子さん)がいらっしゃるということ、そのことじたいがすばらしく、うらやましくもある。

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