◇伊勢丹・三越百貨店の紳士服分野担当の皆様に、昨年に引き続き、レクチャーをさせていただく。紳士服の歴史とパーツをめぐるストーリー。終了後、売り場(というか、お客様目線から「お買い場」と呼ぶそうなのだが)の売れ筋のシャツや、意外と売れないシャツの話なども少しうかがう。現場のリアルな話は、ファッション誌が語る美しい夢物語をすべて虚しくしてしまうほどの破壊力がある。多くの服は、ほんの少しの夢と、シビアな現実のせめぎ合いのなかで買われていく。

昨年末にホーズの取材をしたときに、「伊勢丹メンズ館ではホーズの売り上げは全ビジネス靴下の2割」と聞き、その割合を少ない、と感じたのだが、現場に立つ方の視点では、「2割は、多いほう」と指摘される。数字の解釈ひとつとっても、データを抽象的に考える立場と、現場の具体的実感がこもる立場とでは、まったく違ってくるのである。あらためて、自戒。

◇往復に、なにか話の小ネタがあるかなあと思って持参していった畑埜佐武郎監修『スーツの百科事典』(万来舎)読了。厚くて重い本である。マニアックな情報が満載で、やっぱり日本の服好きな男性の世界はディープであるなあと感心する。服地を使った装丁もなんとも美しいのだが、これは神戸の石田洋服店さんによる限定版の装丁であるため。飾っておきたい贅沢な一冊。

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