「東京島」DVDで。原作がもっていたシニカルな迫力が欠けていて、全体的に「映画」のスケールには満たない、平板な印象。ちょっと残念。平成日本のぬるさを象徴した光景、という見方もあるようだけれど、それ以前に脚本や演出など、なにか根本的なところから、映画としてぬるい感じ。

エルメスがはじめて日本映画に衣装協力した映画としても話題になったが、たしかに、孤島のマストアイテムとしての「カレ」(大判スカーフ)のすばらしさは、強烈に刻みこまれた。「カレ」を数枚もっていれば、いかようにも着こなしができる。その模範例がいくつかのシーンで見られて、ほほう、とチェック。モノがあふれている都会ではムダな贅沢品にしか見えない「カレ」が、モノがない無人島では、万能&必須の布きれとなるというマジック。

40代バブル女が旅の必須品としてもっていくモノとしての位置づけもわかりやすい。裸同然の20代草食系フリーター男たちvs.ブランドで着飾るしたたかな(でも浮いてる)女王様女、の図。

にしても・・・。桐野夏生の原作があれだけ面白いのだし、木村さんも「カレ」も、がんばっていたのに、もったいない思いが残る。

コンセプトは違うけれど、孤島漂着モノ関連で、「蝿の王」を思い出した。20年ほど前の映画。少年たちだけでの無人島サバイバル。ウィリアム・ゴールディングの原作も読んだが、映画版は観てしばらく夜眠れないほどコワかった。特別に残虐なシーンがあるわけではない。表層的な残虐シーンなら今の映画のほうがよほど強烈である。「蝿の王」は、人間の本能の深層にある悪い獣性をえぐるような種類のコワさを見せてくれた。少年たちがフェイスペイントをして踊るシーンのひたひたと冷たい恐怖は、今も思い出すことができる。20年経ってなお、私の中でのコワい映画No.1。

観てから少なくとも一週間はゆさぶられる、という衝撃を与えてくれるような映画に、今あんまりお目にかかれない。単に観る映画の数が減っているためか。

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