「瞳の奥の秘密」DVDで。アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したスペイン=アルゼンチン合作映画。監督はファン・ホセ・カンパネラ、主演にリカルド・ダリンとソレダ・ビジャミル。

美しい若妻が残虐な殺され方をした事件。終身刑になるはずの犯人は当時の腐敗政治のなかで釈放されてしまう。被害者の夫。犯人を逮捕した検事。その美人エリート上司。25年経って、うやむやになっていた事件のその後、検事の個人的な想いに、決着がつこうとしている……。謎と愛、過去と現在がうまくからみあった、重厚な余韻に酔える映画。特殊メイクの技術なのか、若々しい25年前と、老境にさしかかった現在を演じわける俳優たちの風貌の違いが、あまりにもリアルで驚く。

タイトルが示すとおり、人物たちの「瞳」が語る。黙っていても、瞳がほんとうのことを語ってしまう。写真に映る瞳もそうだし、さりげない一瞥、まばたき、伏し目、すべてに意味が宿っていて、それを読み取る相手が次の行動を起こしていく。彼らがラテン系の濃くて大きな瞳の持ち主だからこそかなあ、という感も(笑)。

なかでも、容疑者が自分に向ける視線から真犯人と直感し、男としてのプライドを侮蔑することで挑発して自白をさせてしまう美人上司のやり方に度肝を抜かれる。

TEMO(怖い) にAを入れると TE AMO(愛している)になるというあたりも、アカデミー協会員が評価する「外国語映画」のツボにはまったのかな、とちらと思う。

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