◇中国の「端麗」連載、4月号のお題は、この春いちばんのトレンド、「カラーブロッキング」。レゴのブロックのように大胆ポップなカラーを重ねたりする、色を主役とするスタイル。実際にアリか?とずいぶん考えていたが、イギリス女王エリザベス2世が元祖カラーブロッカーであった。一時期のヒラリー・クリントンも。詳しくは本誌にて。中国ご出張等の折に機会があればご笑覧ください。

◇DVDで「プレシャス」。アメリカの貧困層の家庭(といえるのか?)で、ありえない虐待を受け続けてきた16歳の女の子が、ひとりの教師ブルー・レインと出会い、クラスメイト、看護師、ソーシャルワーカーと接していく中で生きる希望を見つけていく。

涙と怒りなしでは語れないような凄惨な虐待や不幸がこれでもかと続く。父親の子を二人も生むはめにさせられる、という「犯罪!」以上にやるせなかったのが、母親による「食べさせ、肥満させて醜くしてやる」虐待。娘を獣のような父親から守るどころか、「自分の男をとった」と嫉妬し、食べたくないといっても食べさせる。それで女の子は異様に太っている。母は生活保護を受け取るためにウソをつきまくり、働こうという気はみじんもない。「おまえなど誰も必要としない」と娘に暴言を吐き続ける。こんなことできる人間がほんとうにいるのか?というレベルのすさんだ行為の数々。プレシャス(宝物)という名前がいっそう切なくなる。

プレシャスが不運のどん底のなかでブルー・レインに気持ちをぶつけたときの、二人のやりとりが、プレシャスの転機ともなる映画のハイライト。

Precious: Nobody loves me!

Ms.Rain: People do love you, Precious.

Precious: Please don’t lie to me, Ms. Rain! Love ain’t done nothing for me… but beat me… rape me… call me an animal! Make me feel worthless! Make me sick.

Ms.Rain:That wasn’t love, Precious. Your baby loves you.  I love you!

「愛される」ということが「殴られ、レイプされ、ケダモノ呼ばわりされること」でしかなかったプレシャス。つらすぎる。受け止める教師ブルー・レインがかっこいい。名前からしてかっこいい。

悲惨な話だが、映画の語り口はむしろ明るく、ときにユーモアもあって、救いと希望と愛に焦点を当てているので、観終わると、あたたかい気持ちに包まれる。

ソーシャルワーカーの顔、どこかで見たことが……と思ったら、マライア・キャリーだった。グラビアで見慣れた派手ないでたちとはまったく対極の、ノーメイクの地味なソーシャルワーカー役。レニー・クラヴィッツも看護師役でいい味を出していた。そんなミーハーな楽しさもぴりっとちりばめてあって、シリアス&お涙一辺倒になってないところに、風通しのよさを感じる。

◇とはいえ、虐待の実態(フィクションとはいえ)のあまりのすさまじさの印象をひきずっていては眠れない気もしてきて、引き続き「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツラを解放せよ!」を。テレビ的お祭りのようなにぎやかな映画。観ている間は楽しいが、どういう話だったか?と聞かれてもよく覚えていない。そういうところがいい、という種類の映画。

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