2011年2月27日
ポン・ジュノ監督『母なる証明』DVDで。キム・ヘジャが母、ちょっと知的に障害をかかえるらしいその息子をウォンビン。
殺人事件の容疑者にされた息子の無実を信じ、警察も弁護士も頼りにならないなか、たったひとりで真犯人捜しを続ける母。感動的な母子愛のお涙もの……になるのかなとうっすらと予想していたら、まったく想像もできなかったとんでもない結末に鳥肌が立った。
ジュノ監督は、モラルも安い感動もけちらしたその先の、壮絶な「真実」の向こう側を描こうとしている。母は息子に知的障害を与えたことに負い目を感じ、一心同体となってひたすら寄り添い守り抜こうとすることで愛する。息子は何も考えていないように見えて、実は本能的にそのあたりの母の弱みを熟知していて、何をやっても母が守ってくれることに依存している。
これを「母子の絆」と呼ぶのなら、絆は美しいどころではなくて、むしろ恐ろしいくらいだ。離れることができないからこそ、その二人の間にしか生まれえない闇も生まれる。人間の真実はこわくて哀しくて切ない。安易な感動などよせつけない。久々に、「凄い…」と思った映画。
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