朝日新聞22日(金)付夕刊、「人生の贈り物」。「靴下屋」創業者の越智直正さん(71)の話、連載5回目。

「靴下人生、56年。振り返ると、人生に棄物なし、と言いますか、しなくていい苦労はなにひとつなかった。例えば僕は靴下の柔軟性を確かめるのに、自分だけの方法がある。ちいさな子供をかまうように、じわっと甘がみする。いい品だと歯型は残らないんです。これなんか若い頃、編み出した。百貨店などで店員に背を向け、こっそりやってました。靴下の出来を研究しうようにも、懐が乏しくて買うことなんてできなかったから。どこかで見られ、『食べとるんか?』と思われたこともあったみたいです。徒手空拳の工夫を重ね、ほんとうに肌に優しい素材を感覚でつかめるようになった」

「思えば『勝負あった』という時こそ、何かの始まりでした」

靴下を、かんでみる! 越智さんが実際にそれをやっているしぐさの写真付き。たしかに靴下を食べているように見える……。靴下のためにそこまでできるって、むしろ崇高だ。靴下は裏切らない。仕事に対するそこまでの信仰、かっこいい。

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