あの「PRESIDENT」誌が「幸せになる練習」特集。それほどいま「不幸」感を抱えている人があふれているということの反映か。実際、自分も思わず反応して買ってしまったし(苦笑)。

「困難がつらくない」「ピンチでもうろたえない」「お金の苦労が消える」「最愛の人を失ったあと、どう心を立て直すか」「おひとりさまは最期まで幸せといえるか」などなど、目次だけおっていても、今こういう問題を抱えている人がいかに多いか、逆に浮き彫りになってくる。

災難や苦労が次々に押し寄せてくるときに、心を克服するにはどうしたよいのか? 臨済宗老師の井上さんの話をプレジデント誌記者は紹介する。「三昧」に入れ、と。

「例えば難しい仕事や、大震災のような恐ろしい対象と”一つになる”のは容易ではない。しかし、三昧に入るためには、苦しくとも逃げずに仕事や災厄とひたひたと同化し、自己を忘却することです。台風を恐れず、飛び込んでその目に至る、といえばわかりやすいでしょう。災難に遭うときは災難に遭うがよろしく候。己が対象に”なり潰れた”とき、そこに災難はないんです」

苦悩や災難との同一化。いろいろ考えても逃げてもダメだというとき、やはりそういうふうに実践するしか道はなさそうだ……。「真の幸福の泉もここにある」と井上氏は言うが、そこまでの境地というのは。

そんなこんなのメンタルの整え方も多様に紹介されていたが、もっとも印象に残ったのが、帝国ホテル山本一郎チーフデューティマネージャーのインタビュー記事。帝国ホテルは、あの震災の日、なんと帰宅難民2000人を無料収容し、水やパンや毛布を用意したばかりか、温かい野菜スープまでふるまったとのこと。近隣の外資系ホテルではドアも開けなかったのに。その裏話というか、ホテルマンの使命感がすばらしく、やはり危機のときこそ企業なり人なりの本質が浮き出るものだなあ、と。

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