稲川實・山本芳美『靴づくりの文化史 日本の靴と職人』(現代書館)。発刊ほやほやの本。世界における靴の歴史+日本における靴づくりの歴史+現在の日本の靴づくりのさまざまな現場を取材したリポートから構成されている。

とりわけ現在の日本の靴づくりシーンが、綿密な取材に基づいていて、いまの日本のものづくりの状況が具体的にわかる。昨年、オーダーメイドの靴職人の山口千尋さんとファンタスティックなアートピースをつくる串野真也さんを大学にお呼びしてお話をしていただいたことが、まだ記憶に鮮烈に残っていたこともあり、なぜいま日本の若者の間で靴づくりブームなのか? と考えさせられる(答えはまだ出ないが)。

業界用語、専門用語も新鮮。合番。遊び。めつぶし。青底。サクい。

「英国靴VSイタリア靴」みたいな記事を、それぞれの背景まで考えずに軽々しく出してしまう雑誌に対する批判も、チクリ。

靴づくりの表層的な面ばかりではなく、「弱き人が弱き人を助ける」という、町の片隅で黙々と働く職人のあり方にもきちんと目を向けている。

共著なので、本としての統一感に欠けるフシもあるが、逆に、だからこそ予期しなかった箇所に「意外な」情報やストーリーをえられるお楽しみもあり。読む人の必要に応じて、参考書としても、日本近代史としても、稲川氏の個人史としても、靴業界内情報としても、読むことができる。日本の靴づくりに関する本はあまりなかったように思うので、こういう本が出ることはとてもうれしい。現場で働く方にとっても励みになると思う。

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