ガリアーノが去ったあとのクリスチャン・ディオール。とくに新デザイナーを立てるわけではなく、この前のパリ・コレクションでは、ショウの最後に、アトリエの責任者として(クリエイティブディレクターとしてではなく)、ほぼ無名のビル・ゲイッテンと助手のスザンナ・ヴェネガスが登場してあいさつをした。

メディアでのディオール評価は芳しくなかった。なんといってもまだガリアーノの幻影が漂っているのだ。あの刺激と比べてしまえば、地味なアトリエデザイナーたちの技術だけで組み立てたような作品が満足を与えるはずがなかった。

で、ディオール社長のシドニー・トレダノや、ディオールを傘下におさめるLVMHグループのベルナール・アルノーはいったいどうするつもりなのだろう?というのは誰もが思うことなのだが。”Newsweek” 7月11日付にロヴィン・ギヴァンの記事あり。長い記事だが、以下、心に残った要点の概要のみ記しておきます。

ガリアーノの「メルトダウン」(とギヴァンは表現)は、アルノーに方向転換を考えさせたようだ。ディオールという華やかなメゾンを実際に支えているのは、地道にアトリエで働いている人たち。彼らの多くはパリではないところに住み、地に足をつけて質素な生活をしているつつましい人たち。このアトリエのチームとしての力に脚光を当てよう、とアルノーは考えたようだ。

グローバルで、幻惑的な、ステイタスを背負った帝国を、何か別のものへ方向転換させるタイミングが来ている、とアルノー。キーワードは、intimate, Old World, artful. 今こそその時期だ、と。

ロックスターのようなデザイナーは、現れては去っていく。だが、よい作品は永遠に残る、とアルノー。

記事以上。

なるほど、アルノーほどの人が、「時期デザイナーが決まらない」という理由だけで中途半端なコレクションをするわけがないと思っていたが、やはり、この人なりの、時代の先を見据えた考え方があったわけである。

まばゆいスターデザイナーの時代から、職人の匠に支えられた、昔ながらの親密なアトリエの時代へ。アルノーの「次の一手」は、はたして次の時代への先駆けとなるのか、それとも、空回りに終わるのか。Let’s see.

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