園子温監督の「冷たい熱帯魚」DVDで。展開も、セリフも、まったく予測もつかず、一瞬のまばたきさえ許さない、ものすごい緊張感をはらんだ映画。久々に、全身の血が逆流するような映画を見た…。

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小心者の熱帯魚店店主。妻は後妻で、胸の谷間をだらしなく見せているような若妻。娘はそういう継母と父の関係に耐えられず、グレて万引きをする。それを救った村田が、一見「面白くていい人」、実はとんでもない邪悪なやつで、気に入らない相手は片っ端から「透明にする」恐ろしい人間だった…。

小心者の主人公が、村田(でんでんの怪演)とかかわっていくうちに次第に変貌を遂げていくさまが怖い。想像できる恐怖のレベルをはるかに超えて、まったく目が離せなくなる。スプラッター系の恐怖ではなく、人間の弱さと、それが反転したときの怖さまで、生々しいリアリティをもってえぐりだしている、空恐ろしさ。

ラストシーンの、観客の誰も予想がつかないであろう、娘のセリフと反応。救いのなさすぎる結末に茫然としながら、同時に、開放感というか、カタルシスを覚える。なんなんだこれは。ホドロフスキーの「エル・トポ」以来の衝撃かもしれない。気が弱い人には、すすめない。でも、観客にまったく媚びないパワフルな映画を作りきった監督に、心からの敬意をささげたい。

タイトルにしたのは、あまりのありえなさの衝撃に、頭にこびりついて離れなかったセリフ。

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