2011年8月22日
スペインのファストファッションチェーン、ZARAが、契約しているブラジルの下請け会社がチャイルドレイバーをふくむ非人道的な労働を強制しているとして、訴えられた。
ZARAは52件の違反で罰金を科されているほか、これ以外にも似たような状態で生産しているザラのブラジル工場が30はあると示唆されているようだ。
ZARAを傘下にもつインディテクスは、実態を知らなかったと声明を発表。インディテクスの行動規範(Code of Conduct)に反することでもあり、早急に事態を正規化するという姿勢を示している。
やっぱり、まだあったのか。いたちごっこのチャイルドレイバーに不法労働。劣悪な環境下での低賃金労働でさえ、「仕事がある」だけでありがたいと思う人がたくさん存在して、そういう人々を、「少しでも賃金を安くしたい」雇い主が搾取する。非人道的な労働によって作られたかもしれない製品を、「プチプライスでうれしい」とか言って買う消費者がいるかぎり、止めるのが難しいであろうサイクル。
3年くらい前に「女工哀歌」という映画で中国のGパン工場で労働する10代女子のドキュメンタリーがありました。グローバル化の本質を見ました。とにかく過酷な状況ながら10代の女子らしくおしゃれやカラオケに興じ青春を楽しむシーンもあり切なくなりました。しかし労働改善をだれも訴えないのがどうなんだろうと思いました。
>菊池恵美さま
ああ、このドキュメンタリー映画の印象は鮮烈でしたよね。いま確認したら、2009年6月28日付で私も感想をここに書いてました。眠らせないために、まぶたを洗濯ばさみではさむんですよね。あれを見たらとてもじゃないけど、安価なジーンズを買う気になれなくなれます…。とはいっても、それが彼女たちから仕事を奪うことにもなるわけで。矛盾だらけのグローバル資本主義はどこへ行きつくのか、考えても、いまのところ、答えが出ません。
はじめまして。
いつも楽しく読ませていただいています。
労働環境の改善ですが、内部からの告発やアクションはとてもむずかしいと思います。
上記のドキュメンタリー映画は見ていませんが、たとえ劣悪な就労環境であろうと、おそらく「他に行き場がない」という思いがあるのではないでしょうか。
ご存知かもしれませんが、職種そのものを変えよう、そのために公的サービスを利用するといった発想がない、また、そういったアドバイスをもらう人間関係がないということが大きいかもしれません。
DVの構図に似ていますよね…。
非当事者が外部から、こうやって問題にしていくというアクションは、とても大きいと思います。
>石川実典さま
コメントありがとうございます。
チャイルド・レイバーが典型的ですが、低賃金労働させられてる多くの人たちは、教育を受けていない(受けられない)層と思われます。自分がやらされていることが、不法だということを知らないし、声をあげてよいということもわからない。仕事があるだけありがたい、という…。
なんかもう、「女工哀歌」を見てたらどこに怒りをぶつけてよいのかわからなくなります。
DVの構造に似ている、というご指摘、なるほどですね。
ファストファッション文化の実態を引き受け、ステラ・テナントに憧れ
先週、服飾にまつわる文筆家である中野香織さんのブログエントリー『「プチプライス」を喜ぶ前に』で、スペインのブランドZARAが契約している、ブラジルにある下請け工場で、14歳の少女を含む被雇用者たちが、奴隷並みの状況で労働を強いられているというニュースを紹介され…