「再読してみてやっぱり重要」メモ、もう一つ追加。朝日8月3日付、オピニオン欄、「『断捨離』『すっきり』はリスクが高い」の森永卓郎さんの話。ブームにさえなっている断捨離や片づけに対する、B級コレクターからの異議。

「物を捨てて何かが生まれる、ということはありません。無から有は生まれないですから。新しいアイディアも感性も、異質なものが融合したときに生まれています。学問だって過去の論文の蓄積の上に新しい論文ができます」

「心のガラクタは必要なんです。捨ててはいけません。だって、すべての発想や豊かさの源ですから。新しい物や考えというのは無駄の中からしか生まれないんですよ。それを不要だと捨ててしまうのは、自分で自分の可能性を捨てているのと同じです」

なぜ人は物を減らすことにひかれるのか、という質問に対し、森永氏の答え。「デフレの産物ですね。本来は豊かになればもっと大きな家に住めばいいわけだが、デフレのためにできない。だから物を捨て、狭い家を効率的に使う、おしゃれな暮らしを求める。物を買わないからさらにデフレが進む。経済全体では縮小均衡とリスク増大をもたらしているわけです。それと、こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、私は陰謀だと思っています。国民を都合のいい労働力として飼いならすための」

陰謀、についてのより詳しい説明。「都会に住み、通勤時間が短くて、物を持たなくて、趣味もあまりないという人が、企業から見たら使いやすい労働力なんですよ。通勤コストは少ないし、疲れないし、無駄を切り詰めて最小限の物しか持たないから、ライフスタイルが規格化というか同じようになって、ブームが起きやすい。企業にとってはおいしい国民なんですね。ライススタイルが多様化すると、すごくコストがかかるんです。みんなが同じような衣類を求め、同じスイーツを喜び、同じ食事をしてくれるのが、一番効率がいいんですね」

ここしばらくの断捨離ブームのうさんくささを、自己啓発ブームの延長のように見ていたので、この喝破はかなり痛快だった。

2 返信
  1. 菊池恵美です
    菊池恵美です says:

    いつも興味深く読ませていただいています。一頃はやった整理整頓が断捨離と混同されているように思いますね。いつもぐちゃぐちゃでいるので紛失や忘れ物の多い愚かな私です。震災対策としてもシンプルに生きるほうがいいのかなとも思います。無駄なものを排除するというのではなく、雑事に追われてばたばた過ごすのではなく、常に「生きるために必要なもの。死なないためにすべきこと」を考える余裕を持ちたいとも思います。

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  2. kaori
    kaori says:

    >菊池恵美さま
    そうですね。人それぞれの考え方が尊重されていいと思います。
    断捨離はおもしろいコンセプトだと思いましたが、行き過ぎて大衆化すると、変な方向に行ってしまうこともありますね。
    やはりモリタクさんのように異論を唱える人が出てくるのは、健全でいいなと感じました。

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