今週、縁あって、素敵なバー体験を、たまたま二度もさせていただいた。まずは一軒目、新宿三丁目に隠れ家のように潜んでいるバー、「ル・パラン(le Parrain)」。

古い洋館の扉のような重厚なドアを開けた瞬間から、19世紀ヨーロッパの貴族のお屋敷に迷い込んだような錯覚につつまれる。

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マントルピースの上にはさりげなく、ゴッドファーザーや007のイメージにつながる本やグッズなども置いてあり、そういえば、パランとは、「ゴッドファーザー」を意味するフランス語であったと思い出す。化粧室にいたるまで完璧な空間で、非日常の心地よい緊張感と寛ぎを演出してくれる。インテリアは映画のセットを手がけている会社によるものだという。

店長の本多啓彰さんがつくるカクテルがすばらしくおいしい。とりわけ、ドライ・マティーニは、期待をうれしく裏切る豊潤さで、一口ふくむたびに、新しい喜びがわきあがってくる感じ。今まで飲んでいたマティーニはいったいなんだったのか、と思うくらいの衝撃だった。

本多さんにおいしくマティーニを作るコツを聞いてみると、「ゆっくりと、時間をかけてからませていき、とろみをだす」。これだけは、ジェームズ・ボンド流(sheken, not stirred)ではないほうがよいようだ(笑)。英語のstirにしても、こういう官能的な訳語にすると、夜の雰囲気が出ていいなあ、と感心。「かきまぜる」じゃあ、どうもね。

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さまざまなビンテージグラスが用意してあるが、たまたま私のマティーニが注がれたグラスは、雄鶏(Cock)が手書きしてあるうえ、グラスの中央にリンゴがオブジェとしてくっついている楽しいグラス。雄鶏は、Cocktailの象徴。でもリンゴはなぜ?

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時間がそこだけゆっくりと静かに流れているような、大人のバーだった。実は、このバーにはぜひとも行かねばなりません、という勢いでご紹介くださったのは読者の方で、マスターの本多さんも私のダンディズム本を持っていてくださった。恥ずかしながらも、こういう予期せぬシブい出会いに恵まれたこと、しみじみとうれしく、感謝します。

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