H&Mのカンボジア工場で働く、およそ300人の労働者が劣悪な状況下で倒れた、という記事。英「インデペンデント」29日付。

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/hundreds-of-workers-collapse-at-cambodian-hampm-clothing-factory-2345537.html

2日間にわたって二度、トータル284人が気を失った。組合の代表は、工場の劣悪な状況を非難。「中はきわめて暑く、悪臭もひどく、工場からの煙も入ってくる」。それでめまいや頭痛が起きたり、息苦しくなるのだという。

一方、警察側は「集団ヒステリー」と。「一人が倒れると、他の人間まで気分が悪くなるのだ」。

International Laber Organizationは、栄養状態の不良を指摘。

H&Mは、調査を開始した、と発表。

カンボジアには、ほかにマークス&スペンサー、テスコ、ネクスト、インディテクス(ZARAのオーナー)の工場もある。

記事のダイジェスト、以上。

多くの労働者の卒倒。直接の原因に関しては、正確な調査を待たねばならないが、ひょっとしたら、労働者による「ストライキ」のような意思表示かもしれない。先日も、ザラの工場でおこなわれていた児童労働を含む非人道的労働のニュースを紹介したが(8月22日付)、いずれにせよ、安価な服には、「理由」があるのだ。

日本でこういうニュースがほとんどといっていいほど報道されないのは、たぶん、多くの媒体が、こうしたチェーンの広告を掲載しているからではないか。広告主に不利益なことはできないのである。その意味では、原発報道と似ている。マスメディアは東電から膨大な利益を得ていたので、マイナス面を報じるわけにはいかなかった。

福島、および周辺の農作物の汚染は、いまどのような状況になっているのか。日本では曖昧な情報しか入ってこない。ドイツのある公共テレビ番組によって、ようやくはっきりと知ることができた。

内容に愕然とすると同時に、日本でこういう報道が行われないことに、さらに怒りがこみあげる。

(追記:フェイスブックで多くの人にシェアされた動画を上に紹介したのですが、翌日、動画そのものが削除されました。なんらかの黒い力が働いたのではと勘繰りたくもなるのですが……。字幕全部を書き記していた方がいたので、そちらを紹介しておくにとどめます。http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-6085

「プチプライス」の服の背後に広がる悲惨な状況の数々が報道されないのと、同じような理由がありそうだ。(もちろん、福島の問題はこれとは比較にならないくらい大きくて複雑である。だれかの利益のために報道規制がおこなわれているらしい、という点において似た匂いを感じるというほどの意味である。)

安価な服の背後に広がる諸問題をすべて了解したうえで、それでも着るならそれでいいと思う。「しかたがない」「選択肢がない」という側面は、たしかにある。ただ、まったく何も知らずノーテンキに、雑誌のグラビアがあおるままに「ブーム」とやらにのせられている人々の姿を見ると、3・11以前に「原発はクリーンエネルギーです」という甘言に何の疑いもさしはさまずにエネルギーを享受していた私たちの姿が、ほんのちょいと重なって見えてしまうのである。

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