<FB研究その2>

◇インターネット世界をすっかり変えてしまったものに、「Like」(いいね!)ボタンがある。これを発明したのは、Soleio Cuervo 氏。

「仕事に行く前、12分間フェイスブックを使う時間があったら、それをどのように最大限に有効活用するか?」

シンプル、クリスプ、クリーンに。いろいろあって、2009年2月に、例のちっちゃな「Like」ボタンが生まれる。これがインターネット世界を大きく変えてしまうことになろうとは。

以上の詳しい経過は、The Wall Street Journal, 8月13日付、The Man Who Got Us to ‘Like’ Everything.

◇……で、この「Like」ボタンに対する批判の記事が、ずっとひっかかっている。Wall Street Journal、7月2日付。The Insidious Evils of ‘Like’ Culture.  by Neil Strauss.

FriendFeedに2007年に現れ、Facebookに2009年に登場して以来、急速な勢いでユーチューブからアマゾン、その他、ほとんどのニュースサイトに広まった「Like」ボタン。これに抵抗せよ!とのStrauss氏の意見がおもしろい。以下、かなり大雑把に概要。

インターネットは本来、大衆とは異なる考え方をもっていた人々が、自由に意見や考えを述べられるスペースであったはずだ。「みんなと一緒」でなければいけないことからの解放。情熱、クリエイティビティ、イノベーション、自由な情報、それが許される場がインターネットだった。

ところが「Like」が席巻してしまったおかげで、人々は「みんなに好かれる」情報ばかりを発信するようになってしまった。これって、時代錯誤的ではないか。

他人の承認ばかりを求める結果になる「Like」カルチュアは、自分が自分を尊重するというコンセプトを否定するものだ。

「いいね!」の数、ツイッターのフォロワーの数など、いくらせっせと集めても、ネットのシステムが崩れてしまえば、砂上の楼閣のように崩れてしまうのだ。MySpaceがそうであったように。

心理学者のエリッヒ・フロムは、60年以上前にこんなことを書いている。「人間は、自分が作り出したシステムの力が巨大になればなるほど、それに支配され、自分自身を見失う」(←かなりの超訳です)

だから今こそ、「いいね!」ボタンの専制に立ち向かおうではないか。他人とは異なるあなたを特徴づけるものをシェアしよう。他の人が聞きたがっているようなことではなく、あなたにとって重要なことを書こう。どんなものが人気があるかを知るために「いいね」ボタンの数を見るのではなく、あなた自身が読んだものから、あなた自身の意見を形成しよう。自分自身の本物の感情にフォーカスしよう。

以上、ざっと概要。

ここしばらく、ぼんやりと感じていたことがスパッと書かれていて、衝撃とともにすっきりした。「いいね!」ボタンが否応なくついてくるフェイスブックでは、無意識のうちに、FBフレンズが好みそうな話題を提供することが多くなっている。自分で面白いと思っていても、ほかの誰も反応しなかったら、なんとなく居心地よくないように思えてくることはたしかにあるのだ。もちろん、そういうのを気にしないスタンスというのは大あり。ただ、多くの人が『「いいね!」をありがとうございます!』というコメントをわざわざ載せていることから察するに、やはり「いいね!」を押してもらえることは、単純に喜びにつながるのではないかと推測する。

FB空間が居心地よいのは、だれも悪口や不快なことを書かないから。つまらなければスルー。反応するときは、「いいね!」(好感)として表現する。だからいやでも好ましい空気が醸成される。

でもそれってたしかに、コンフォーミティー(融和)を旨とする共同体に身をおくことを求められる、アナクロな世界なのかもしれない…。

いずれにせよ、システムがダウンしたら崩れ去る「砂上の楼閣」。それを常に頭の片隅に置いておくことは必要なのかな。

FB研究、さらに続く。

2 返信
  1. らみい
    らみい says:

    Facebookで、漠然と感じて居た事が、明記されていて、こうゆことかと、再認識した次第。
    「いいね!」ボタンは、押された方は何か恩義を感じて押してくれた人の投稿に
    恐らく、さして自分の興味のない事も、「いいね!」を、お返しとして、押していると感じる事多々。
    又、機械的に、全ての友達の投稿に対して「いいね!」を押している、ある方も。
    そして、何時の間にか自分も、「いいね!」を意識するように、、、
    う〜ん、これからはもっと、自由に投稿しようと思った次第。

    返信
  2. kaori
    kaori says:

    >らみいさん
    「いいね!」
    …ウソです(笑)。
    たしかに、「贈与」にともなう「返礼」
    の心理も働きますよね。
    あのちっちゃいボタンの影響力、
    さまざまに大きくて、観察するぶんには
    なかなか面白いですね。
    引き続き、どうぞよろしくお願いします。

    返信

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