ここひと月ほど毎日持ち歩いて、少しずつながら、気になったところを中心に3度ぐらい読み返しているのが、山崎正和先生の『社交する人間 ホモ・ソシアビリス』(中公文庫)。

礼儀作法の意味、ファッションが社会において発揮する力、学問が成立する場所、ソーシャル・ネットワーキングの意味、これからの社会や仕事のあり方など、最近、つらつらと考えていたことに対して一貫したヒントを与えてもらったような思いで、かなり運命的なものを感じている本。なんでハードカバーで出た時に読んでおかなかったのか、と悔やまれる。

効率や生産性や手段といった19世紀的な発想がもう機能しなくなっている今、人間的な幸福に支えられた社会実現のために重視すべきもののひとつとして、たしかに「社交」の復活がある、と感じられる。「会議は踊る」。そもそも政治だって社交の中でおこなわれてきたのだ。ましてや学問は!

引用したい箇所があまりにも多すぎて(ほぼ全部)、かえってフラストレーションがたまりそうなのだが。前半、がつんとやられたなかの一か所から。

「けだし社交とは、本来、いっさいの清教徒的な禁欲とは無縁の営みである。それは人間のあらゆる欲望を楽天的に充足しつつ、しかしその充足の方法のなかに仕掛けを設け、それによって満足を暴走から守ろうという試みである。社交はあらゆる道徳的な命令にたいして中立的であり、むしろ倫理への反抗を内側から逆転させて野蛮を防ぐ奸智だといえる」

文章も山崎さんらしい論理的で誠実で力強い筆致で、最後まで、一瞬たりとも手が抜かれていない。全身を落ち着かせてくれるようなトーンで、どこか「帰るべきところに帰ってきた…」とほっとさせられる。しばらくの間、引き続き、持ち歩いて反芻したい本。

3 返信
  1. 後藤 潤
    後藤 潤 says:

    中野さんこんにちわ。
    この本、非常に興味深いです。
    「けだし社交とは。。。禁欲とは無縁の営みである。。。あらゆる欲望を楽天的に充足しつつ。。。」
    こういうの好きです。
    僕も読んでみますね!

    返信
  2. kaori
    kaori says:

    >後藤さん
    かな~り歯ごたえがありますけど、
    じっくり時間をかけて味わいたい本
    として、おすすめです。
    ファッションって社交の上に成り立つ
    ものでもあるので、
    やはりファッションの意味を考える
    ときには社交を考えることが
    不可欠……とあらためて実感してます。

    返信
  3. 後藤 潤
    後藤 潤 says:

    >中野さん
    頑張ります!
    おっしゃる様に社交の場がなければファッションの意味もなくなりますよね。
    見せる場があってのファッション。
    ブランメルの時代も現代もそこだけは変わりませんね!

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