この選択が吉と出るか凶と出るか、というくらいの転機となりそうな(私にとっては、という程度だが)選択を迫られ逡巡し続けて3日目、判断を下す礎としてぜひともご意見を聴いておきたい、という方を尋ねていったところ、「私は大それた助言などできる立場ではありませんが、この演奏のなかに求める答えが見つかるかもしれません」という前置きのもとに手渡してくださったのが、このCD。

1959年8月25日のザルツブルグ音楽祭でのグールドのリサイタルを録音したCD。コンサート活動をやめてしまう前の、貴重な録音である。天分を惜しみなく十全に発揮している人特有の、歓喜と謙虚。小さいミスなどものともせず、聴衆などいないかのような忘我の境地をうかがわせるフリースタイル。ハミング入り。すばらしいライブ音楽にしばし陶酔する。

他人の評価や偏見など気にせず、自分がいちばん楽しめるやり方を選び、そこで大事なことに没頭すれば、結果はそれに応じておのずからついてくるさ(それを気に病む必要はない)、というメッセージとして受け取ることにした。(ご本人の意図とはまったく違う、自分に都合のよすぎる拡大解釈かもしれないが……笑)

HHさん、ありがとうございました! 映画かドラマに出てきそうなアドバイスのしかただが、そういえば、この方の作り出す世界はあらゆる点で映画的なのだった、ということにあらためて思いが及ぶ。ことばやふるまいから、タッチするすべてのものにいたるまで一貫したテイストを感じさせること、これがスタイルというやつかな、とも思う。服装がおしゃれな人は多いが、他人の人生の選択に対する助言にまでスタイルを感じさせる人、というのはなかなかいない(ほめすぎてゴメンナサイ)。

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