昨日は、明治大学商学部でのファッションビジネス教育の世界展開に関し、マスコミ交流会をおこないました。商学部長横井教授による全体の概要の紹介、商学科長小川教授による現在の取り組みの具体的紹介につづき、国際日本学部で私が担当しているファッション文化論(「ファッション文化史」、「モードの神話学」)の講座の目的と概要をプレゼンテーションさせていただきました。65名ものマスメディアの方々にご来場いただき、その後の懇親会でも好意的な多くのコメントを頂戴して、励まされました。ありがとうございました。

私の話のテーマは「学問としてのファッション学」というものだったのですが。以下、その大雑把な趣旨の一部です。

大学で教える「ファッション学」として私が目指しているのは、あらゆる知や感覚や経験を統合していく学問としての位置づけ。分化・専門化ばかりがすすみすぎた弊害が、全体を見渡して統合する感覚と想像力を欠いた人材の不足という現状になって現れているのではないかと思っている。専門化の行き過ぎは、リーダーシップの不在と無関係ではないはずだ。

ファッションとは、時代の空気を形づくるもの。時代の空気とは、政治・経済・社会・芸術などのほかに、広告・雑誌・映画・ポップカルチュア・サブカルチュア、そしてひとりひとりがかかえる心理的な問題(コンプレックス、幸福感、アイデンティティ、人間関係、同調圧力、家族の問題、セクシュアリティ、などなど)の諸要素が、渾然となってつくられる。

それらの諸要素に偏見なくきめこまかく目を向け、諸要素のつながりを考えることができる想像力。過去2000年分(それ以上でもいいわけだが)のファッションの歴史と現在のモードとの関連を想像できる感性。そのような「統合」に向かう想像力をもち、しなやかで幅広い教養を備えた人材を育てる、というのが私が大学における「ファッション学」教育を通して目指していることである。

ここでいう「統合」とは、Integrate 。すべての要素の境界をぐちゃぐちゃにあいまいにするのではなく、個々の要素をきちんと立てて生かしながら、全体を有機的にまとめあげていく、ということを意味する。

というような、日ごろ考えている自分の仕事の位置づけのような話に続き、具体的なカリキュラムの紹介をおこないました。

大風呂敷かもしれないが、これくらいの理想を掲げておいたほうが、私自身ががんばれる、ということもある。失笑を買うことにはとうの昔から慣れているので、平気だし(笑)。

ファッションの表層的事実だけを記述していっても、それはすぐに古くなる。でもその背後に働く想像力は古びない。それを見抜いて記述していくこと、というのが<ファッションについて書くという仕事>の個人的な理想でもあるのだが、そう簡単なことでもなくゴールがあるわけでもなく、日々、延々と修業中…。

4 返信
  1. かいしん
    かいしん says:

     「ファッションの表層的事実だけを記述していっても、それはすぐに古くなる。でもその背後に働く想像力は古びない。」というお言葉、実に的を射たものかと存じます、心が動かされました。「ファッション」を別の言葉に置き換えれば、あらゆることに当てはまるような気がいたします。基本的な考え方をしっかり持っていれば、その延長線上にあるものは応用が利くものだと、私は信じております。ただ、その「背後に働く想像力」を、具体的なものとして、何らかの形として残すことは、並大抵のことではないと存じます。それを理想として掲げ、日夜お仕事に取り組んでいらっしゃるとのこと…、その探究心に敬服いたしました。

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  2. kaori
    kaori says:

    >かいしんさま
    あたたかいお言葉ありがとうございます。
    でもそんな「敬服」されるようなことでもないのですよ(恥)。
    ヴィジョンを掲げることは照れくさいし
    野暮だ、と思っていた時期もあったけど、
    ここまで時代が殺伐としちゃったら、やはり大風呂敷でもなんでも、ロマンを語らねばやっていけないというところもあり…。
    信念とビジョンをもって方向性を明確にすることで、自分自身の迷走のリスクを最小限にできるばかりでなく、一緒に仕事をする人も行動しやすくなりますね(なにをやろうとしているのかわからないと、どう協力していいかもわからない…)。今さらながらそういう発見をしたこともあり、たとえ大風呂敷でも、ヴィジョンは公言することにした次第です。でもほんと、現実は困難につぐ困難(苦笑)。苦労も楽しみながら、理想に近づきたいと思います。

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  3. kaori
    kaori says:

    >麻友子さん
    ありがとう。遅々としたカメの歩みではありますが、ちょっとずつでも理想に近づいていけるよう、行動し続けていたいと思います。

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