ファッションに関して日本語でお勉強してみたい方へ、新しい本2冊のご紹介。まずは、西洋モード史全般に関して。

ゲルトルート・レーネルト著、黒川祐子訳『絵とたどるモードの歴史』(中央公論美術出版)。モードとは何か?という話にはじまり、先史時代から、現代まで、図版とともにとてもわかりやすく解説されている。巻末に用語集、主要モード雑誌、モード論者などの説明もあり、総合的な教科書のようなつくり。視点はあくまでヨーロッパにある。

こちらは、現代日本のファッションの最先端状況と、エッジイな批評。西谷真理子編『ファッションは語り始めた』(フィルムアート社)。西谷さんは「ハイファッション」の編集者をなさっていた方。ハイファッションの刺激的な批評の姿勢をそのままキープ、濃縮して単行本にしたような本。レイアウトが雑誌のように対談内容や執筆内容に応じてさまざまに変わるので、興味のわいたところから自由に読める。

アンダーカバー、UNREALAGE、matohuなどなど、西洋視点から見たジャポニスムではなく、今の日本のリアルな日本らしさを発信するブランドの立ち位置や考え方が理解できる。

個人的におもしろかったのは、「座談会」。ジャンルを超えてファッション好きな人たちが、どうしてファッションが好きになったのかとか、高校時代のファッションのこととか、最近考えていること、ファッションに対するラブ&ヘイト、みたいなことを、とりとめなく語り合っているんだけど、その会話のライブ感が楽しくて、終始ニヤニヤ(というのも気持ち悪いが、ニコニコという感じでもない)しながら読んでいた。

とりわけ、デザイナーの神田恵介が、どういう気持ちで服をつくってるのか、ということを説明するくだり。「女心がわからないのが強みであるというか。”一生分からないズレたレディース”っていうのが自分の強みだと思っています」「僕の場合は、奴隷のような、奉仕する感じといいますか、哀れみで着てもらうみたいな。しつこく何回も告白してくる男の子みたいな」。

各座談会には、まとめ、とか結論、がなくって、そこになんともいえない風通しの良さというか、ああ、今の東京ファッションの空気はこれに近いよね、というような、淡い共感を覚えたのであった。

アプローチはたくさんあればあるほど面白くなると思う。ファッション関連本がどんどん世に出て、書店の「ファッション」の棚がもっと充実することを願いつつ。

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