メンズファッション史のスター、ウィンザー公(=エドワード8世)と、その弟ジョージ6世(「英国王のスピーチ」のモデルになったあの方ね)の話は、映画効果もあってもう広く知られるようになったが。

さらに彼らの下に弟がいたとは!

名前はジョン。プリンス・ジョン。ジョージ5世とメアリ王妃の間に誕生し(1905年)、13歳で夭折(1919年)。

プリンス・ジョンは自閉症があったうえに癲癇(てんかん)もちで、それゆえに、家族から(世の中から)隔離されて乳母ララに育てられていた。母には愛されずに。

知らなかった英王室の事実…。

そのあたりのことが、丁寧に、繊細に、描かれたテレビドラマby BBC、’The Lost Prince’(「プリンス 英国王室もうひとつの秘密」)。

180分と長く、前・後編に分かれている。2005年のエミー賞最優秀作品賞・衣装賞・美術賞受賞作。時代考証がきっちりおこなわれていて、婦人参政権運動のリアルな活動ぶりがちょこっと挿入されていたりする。なによりも、エドワーディアンの衣装や習慣やインテリアがきめこまかく優美に再現された、動く美術本のようなドラマ。(芝生の上ではなく土の上を歩くときには靴をはき替えなくては、と主張するご婦人に苦笑。)

静かで淡々とした語り口なので、英国史に関心がない方には多少退屈かもしれないが、最後まで辛抱づよく見るとじわりと感慨がこみあげてくる。

こういう映画を作らせる(とくに差し止めはしない)英王室のオープンネスと寛容にも、敬意を覚える(ジョージ5世が無能な印象を与えるように描かれているし)。日本の皇室に類例があったとしてもまずドラマ化はムリだろうな……。

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